5647.2023年2月5日(日) 書籍販売数が減少、電子書籍にも壁

 平安時代の歌人藤原定家に次のような和歌がある。

 ~大空は 梅のにほひに 霞みつつ くもりもはてぬ 春の夜の月~

 立春が過ぎたが、今年の陽気は寒いのか、我が家の梅はまだ開花しない。もちろん鶯はやって来ない。だが、今夜は定家が詠うように夜空に真ん丸いお月さんがくっきりと見える。平安時代の月と変わらないのではないか。

 近年一般的な読書離れのせいか、本の販売数が減り続け、その影響で書店を閉めるところも多いようだ。2015年に書籍市場が1.5兆円を割ってから年々減り続けている。出版科学研究所の分析によると、今後も毎年数百億円規模で減少し続けるだろうという。その一方で最近伸び続けている電子出版市場も、昨年初めて対前年で減少した。紙の書籍、電子出版ともに減少したが、構造的な需要現象によるようだ。ただ、電子書籍の内訳は、コミックが圧倒的に多く、全電子書籍のほぼ90%を占める。コミックの内容に新鮮さが欠けるのか、その電子書籍の伸びにも陰りが見え、毎年2割ずつ成長していた伸び幅が一気に縮小し、ついに伸び率自体も初めて1桁に落ちた。私も昨年初めて拙著「八十冒険爺の言いたい放題」を電子書籍化したが、その売り上げのほどはいかがだろうか。

 全般的に書籍の出版が減少する傾向は否定出来ない。これは特に若者が本を読まなくなったことに起因していると思う。本は読まず、新聞も読まず、ひたすらスマホでネット情報を仕入れているようだが、これでは文章力も身に付かないと思う。以前から気になっていたことだが、小学校で文章を書くことをしっかり教えないことにその遠因があるように思う。昭和20年代に小学生だったが、当時国語には「読み方」と「綴り方」があった。言うまでもなく、読み書きを習ったのだ。その習性が身に付き、小学生時代から本を読み、しばしば幼いなりに手紙を書いていた。今日の国語教育には、基本的な読み書きの訓練が疎かになっているのではないかと心配である。

 さて、暇つぶしにネットを見ていて、こんな面白いリストが目についた。アメリカの雑誌「US NEWS & WORLD REPORT」が毎年「世界一の国」ランキングを発表している。昨年の総合順位では、1位スイス、2位カナダ、3位イギリス、4位ドイツ、に次いで日本は、前年の7位から5位に上がった。失業率の低さ、質の高い労働力、低い法人税や、ハイテク産業、金融業を中心としたサービス業の水準の高さなどの強い経済力が総合的に評価されたようだ。

 また、世界で最も文化的影響力のある国は、1位イタリア、以下2位フランス、3位アメリカ、4位日本、5位スペイン、6位イギリス、7位韓国、8位スイス、9位ドイツ、10位オーストラリアだった。この他に「先見の明のある国ランキング」と些か基準が曖昧に思えるリストでは、日本が1位とは驚いた。果たして本当だろうか。2位はアメリカだが、3位韓国、4位シンガポール、5位中国とアジア勢が上位を占めた。

 どんな形であれ、世界から認められるのは、誇りにして良いと思う。

2023年2月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com