5646.2023年2月4日(土) アメリカへ飛来した中国製気球の不審

 2年前の2月2日にミヤンマーで軍事クーデターが起き、アウンサンスーチー国家顧問以下政府首脳陣が軒並み身柄を拘束され、国軍が政権を掌握した。その後昨年2月にロシア軍のウクライナ侵攻が始まり、世界の目はそちらに移って行った。ミヤンマーについてはあまり報道されることもなく、派手な戦闘のウクライナの方が世界の注目を集めることになり、報道されないミヤンマーでは民主化への圧力が増幅されて、あまり芳しいことではないと懸念していた。この実態を国連も心配して、グテーレス事務総長は、今年8月までに国軍が総選挙を実施すると語っていたが、その信憑性を懸念している。そこへ国軍は、1日非常事態宣言を6か月間延長すると公表し、更にその適用範囲を拡大するとも述べた。国軍による民主化弾圧の勢いは止む気配がない。ミヤンマーに対する国連決議を行っても中ロなどが反対してミヤンマー国軍も受け入れる気持ちはなく、このままの状態が一体いつまで続くのだろうか。

 さて、米中間の冷却化が懸念され、昨年11月バイデン大統領と習近平国家主席、両首脳が電話会談をした折に、米中間の緊張が不測の事態に発展することを回避するために、お互いに意思疎通の維持により開かれた外交を確認したばかりである。ところが、この2、3日雲行きが怪しくなってきた。発端は中国製気球がアメリカ本土モンタナ州に飛来したことである。これをアメリカが偵察飛行ではないかと非難したところ、中国はアメリカの言いがかりのような反論だった。ところが昨3日夜になってアメリカ本土で見つかった気球は中国から飛来したものだと認め、民間のもので気象などの科学研究に役立てるもので、不可抗力でアメリカに誤って入ったと遺憾の意を表明した。アメリカは現在この気球を追跡しているところだが、訪中予定だったブリンケン国務長官は、気球飛来をアメリカの主権と国際法の明白な侵害と述べ、延期を決断した。中国外務省は、両国外交関係者の責務は予想外の状況に冷静に対処することだとのコメントを発表したが、どこか他人事のような感覚である。

 そこへまた新たな気球情報がもたらされた。別の中国の偵察気球が、中南米の上空を飛行していると国防総省が発表した。本当のところは偵察気球なのか、単なる科学気球が迷い込んだものなのか、現時点でははっきりしていない。それにしても中国はどうしてこんな怪しげな気球をアメリカへ向けて飛行させたのだろうか。偵察気球なのか、或いは中国政府が述べる科学的なものなのかは、実物を捕捉してみれば一気に解決するのではないか。中国政府が科学的な気球というのなら、実物をアメリカに提示し納得してもらってはどうだろうか。こんなことで米中間の対立が進み関係がこじれることの方が余程心配である。

 この中国政府の言い訳三昧のコメントに比べて、珍しく岸田首相が今日首相秘書官を更迭した一刀両断の方がよほどすっきりする。更迭の理由は、荒井勝喜秘書官の性的少数者や、同性婚を巡る発言を言語道断と厳しく断罪したものである。

2023年2月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com