5643.2023年2月1日(水) 変わりつつある街の様相

 物価の値上げがすさまじい。つい最近電気料金3割の値上げが発表されたばかりである。ほとんどの生活必需品が値上げされているが、今月は食料品を主に5,500品目の値上げが予定されている。言うまでもなくその発端は、ロシアによるウクライナ侵攻による原油価格の高騰にあるが、最近の鳥インフルエンザによる卵の値上がりなども大きな値上げ要因である。日本人の卵好きは昔から知られ、その消費量は世界でも2位で、年間1人当たり337個を消費するそうだ。1年間ほとんど毎日卵ひとつを食べていることになる。それが13%もアップするとあっては家庭の経済も大変である。物価の値上げに連動して収入が増えれば救われるが、それは掛け声こそ勇ましいが、勤め人にはことはそうはうまく運ばないだろう。

 今年は大学を卒業してちょうど60年になる。初任給は当時平均的な18,000円だった。それが、今朝テレビである企業の学卒者の初任給は195,000円と紹介されていたが、我々も入社後最初のベースアップで6月から19,500円となった。ちょうど今の初任給の1/10である。その中から親へ幾ばくかの現金を手渡していたが、父親がまだバリバリ働いていた当時だったので、格別生活が苦しかったこともなく、自らにとって物価とか生活が厳しく感じられることはなかった。

 だが、考えてみるとその当時に比べて、今日国の一般会計予算は約100倍に膨れ上がっている。国家が国民のために防衛費は別にして相当支出していることになる。だから、普通に考えれば、国民の生活にはゆとりがある筈である。それがさほど感じられないということは、公共的な社会施設が充足されつつある一方で、無駄な支出が多いということでもある。

 その前年1962年に新宿西口に小田急百貨店が開業した。当時国鉄、営団地下鉄、小田急3社が共同ビルとして坂倉準三建築事務所肝いりの新宿のランドマークとなるビルを西口に建設して脚光を浴びた。そのビルが昨年から手仕舞いを始め、いずれ超高層ビルに生まれ変わることになるが、これも60年の歴史だった。小田急百貨店は一時的に規模を縮小するが、いずれ新ビルになった時、どんな姿でデビューするだろうか。

 その一方で、寂しいことであるが、渋谷区立大向小学校の跡地に建てられた大手デパートの東急百貨店が、昨日55年の歴史のある渋谷の本店を閉店した。思い出すことと言えば、1977年に文部省教員海外派遣団のお供でアメリカを訪問した時の団長が、大向小学校校長だった。1977年に大向小は閉校となったが、団長から伝統ある学校の歴史を随分伺ったものである。

 昨年8月ニューヨークから本場のブロードウェイ・ミュージカル「コーラスライン」がやって来てオーチャードホールで公演した時鑑賞したが、会場に一足早く着き隣の東急本店内で時間つぶしをしたことがある。スーパーもコンビニもなかったひと昔前には、やや高級ではあったが、ちょっと気の利いたお買い物と言えば、百貨店だった。生前母もお買い物と言えば、わざわざ1時間以上もかけて湘南の地鵠沼から三越本店へ出かけていたものだ。現代のショッピングとは大分変った。これも時代の趨勢だろうか。

 なお、高島屋も立川店を昨日限りで名残惜しくも閉店することになった。有名なドラマの一言がある。「忘却とは忘れ去ること成り」

2023年2月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com