昨日沖縄・名護市長選が行われた。名護の辺野古には米軍基地移設問題で熱い目が注がれている。昨年末の仲井真知事の辺野古移設を認めるとの発言で事態は大きく変わった。県知事の発言に勢いづいた自民党は、辺野古移設賛成派の自民党県会議員を立てた。一方で移設に反対の現職市長・稲嶺進氏がこれを受けて立った。自民党のやり方は、いつも通りえげつない方法で辺野古移設が可能になれば、その見返りに500億円の「名護振興基金」という手土産を自民党は名護市に手当すると、石破自民党幹事長は市民の前でぶった。つまりこれこそ辺野古移設に向けた「人質」のようなものだったのではないか。
その市長選の結果はどうなったかというと、辺野古反対派の現職市長が再選されたのである。これに対して早くも石破幹事長は、基金の見送りに言及した。菅官房長官も辺野古移設賛成派のビジョンを実現するための基金であると述べた。小野寺防衛相に至っては、敗北は地方選挙なので、辺野古問題には直結しないと述べたうえで、辺野古埋め立て権限は県が持っているので、法令に基づいて対応すれば移設容認の方向へ進むと、まったく選挙の結果は関係ないと言わんばかりである。
では自民党に問いたい。市長選挙は何のために行ったのか。民意とは一体何なのか。確かに一般にはあまり知られていない市独自の政策も訴えたであろうが、最大の争点は地元として直接市民生活に響いてくる辺野古移設問題だったではないのか。だから、自民党は必死になってお土産付きの候補者を立てて闘ったのだ。それが、選挙に破れ、旗色が悪くなると市長選の勝敗は関係ないと言わんばかりに、当選した稲嶺市長を相手に意地悪なことを言い始めた。こういう卑怯な戦法があるだろうか。
自民党の幹部連には、本当の意味の民主主義が分っていないようだ。