2447.2014年1月24日(金) 日中対立のトゲ

 昨年末の安倍晋三首相の靖国神社参拝以来、中国と韓国の対日批判がエスカレートしているが、つい最近の首相のアフリカ訪問や、昨日までの世界経済フォーラム(ダボス会議)でのスピーチに対して、各国駐在の中国大使がメディアを使って強硬な対日批判を行っている。これに対して日本側が反論して、非難・中傷合戦の様相を呈している。

 そもそも安倍首相の靖国神社は国内問題ではあったが、これほど中韓両国が過敏に反対するようでは、外交関係の重要性を考えれば、やはり立ち止まって最善の策、或いは次善の策を考えるべきであったろう。

 靖国参拝については、日本人の間でも反対意見が多い。その最大の理由は靖国神社にA級戦犯が祀られているからである。中韓両国もその点を指摘している。自分らに被害をもたらした人間を国のリーダーがお参りするのは、彼らに対する犯罪行為であるという。安倍首相が「国のために闘い倒れた人に手を合せるのはリーダー共通の姿勢」と繰り返し言っているが、一般的な戦死者に対してだけならともかく靖国参拝は戦犯に対しても手を合せることになり、被害者としてはどんな気持ちであるかということに対して、首相の行動は少し配慮が足りないように思う。日中の非難合戦は、国連総会の場にも波及して、今回の靖国参拝については中国外交官が世界50カ国で対日非難をぶっている。

 アメリカは日本政府に対して靖国賛否は間違いなく中韓両国を刺激し、対日批判を高めるので、極東アジア安定のためにも控えるよう注文をつけていたが、政府は聞き入れなかった。日本研究で知られるコロンビア大学のジェラルド・カーチス教授は、日本は中国の対日批判に反論するのでなく、聞き流しておけば自然に収まると言っている。日本が反論に重点を置いていることで、日中の非難合戦が世界中に広がっているという印象を与えている。

 こんな膠着した空気の中で、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙が、アメリカ政府が日本政府に靖国参拝を中止するように申し入れを行ったと今日ネットに報じられていた。真偽のほどは分らないが、アメリカも日中間の対立を相当憂慮しているのだ。

 この角突き合った対立を和らげるひとつの方法は、最善の策ではないかも知れないが、次善の策として靖国参拝を中止する以外あるまい。

2014年1月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com