昨日衆議院予算委員会で籾井勝人・新NHK会長が参考人として出席し、先日の会長就任会見の場で政治的中立性が疑われる発言をしたことについて、民主党の原口一博元総務相の質問に応えた。
この籾井氏は大手商社・三井物産副社長、そして日本ユニシス社長の経歴を持つ一流の実業人でNHK経営委員会から全員一致でNHK会長に推された人である。それだけにもう少し相手の気持ちを考え、もっと腰の低い人だと思っていたが、第一印象は正反対で傲慢そのものの人のように見えた。結局安倍首相との個人的な親しさからNHK会長に推薦されたととかくの噂があるのも何となく頷ける。
籾井氏の発言で気になったのは、①国際放送で政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない、②首相の靖国参拝について、自分の信念で行かれたということでいい、③特定秘密保護法は通過したので、今更言ってもしょうがない、④従軍慰安婦はどこの国にもいた、などとまったく安倍首相が喜びそうなことを躊躇することなく喋り、不偏不党、かつ公平中立であるべきNHK会長としての立場をまったく弁えていないことである。
昨日は国会という場を意識して神妙に誤解と迷惑をかけたと謝罪し、誤解を受けた発言は取り消すと言ったが、そんな軽い感覚でこれからNHKのトップ職を全うできるのだろうか、極めて疑問である。
何となく軽い感じのする会長だけに、今後も似たようなポカを犯すような気がする。NHK職員も当分気が休まらないのではないだろうか。
さて、今日唐突に問題児・橋下徹大阪市長が日本維新の会の党大会で辞任を示唆する発言をした。理由は、大きなテーマだった大阪都構想が進まないことにいら立ったからだ。それは、都構想を進めるためにはその是非を問う住民投票を実施することが必要だった。党として大阪府議会、市議会の過半数を有しておらず、どうしても公明党の協力が必要だったが、それが得られなかったため自分の考えていた制度設計が誤算となったからである。
しかし、こんなに簡単に自治体トップの出直し選挙を行っては、その間行政がストップしてしまうのではないか。市政の私物化ではないか。金もかかる。それに橋下氏は、先年大阪府知事を任期途中で投げ出し、大阪市長に立って当選したばかりではないか。
こういう住民目線とはかけ離れ、公費を無駄遣いするような人が行政を司ることは、住民に対する裏切りであり、無責任でもある。自分の依怙地な主義主張だけを振り回し、地域や住民のことをまったく考えない、こういう人が行政のトップにいることは住民にとっても不幸である。
辞めるのは自分の勝手だと思っているのかも知れないが、こういう無責任な人は行政からとっとと身を退くべきではないか。