2460.2014年2月6日(木) NHK幹部3人目の不審人物

 昨日呆れさせられた「現代のベートーベン」佐村河内守氏の作曲疑惑について、今日ゴーストライターで実際の作曲者・新垣隆氏が記者会見でそもそもそうなった原因と経緯について語った。

 一番ショックだったのは、佐村河内氏がどうやら全聾ではなく、耳が聞こえるようだということだった。新垣氏はあくまで影武者に甘んじる気持ちだったようだが、佐村河内氏の被爆二世という存在と独特のパフォーマンスにより有名になり、曲が売れるようになって、いつかはばれると思いコンビの解消を申し出たが納得されず、今日に至ったと述べていた。しかし、いずれにせよ結果的に2人で多くの人を騙していたことは明白である。新垣氏は自ら佐村河内氏の共犯と言っていたが、子どもではあるまいし、彼らがやった下劣な行為から考えれば、とても許されることではないと思う。ここまで多くの人々を騙す猿芝居を続けてきた2人にとって、どれほどファンを失望させたかとの反省や謝罪の気持ちがいまごろになって本当にあるのだろうか。

 サミット8でも佐村河内氏作曲とされた交響曲1番「HIROSHIMA」が演奏され、広島市民を感動させ広島市民賞を授けられたが、急転直下奈落の底へ突き落とされたようなものだ。ある意味では自業自得であるが、実に惜しい話であるし、広島市民はがっかりしている。

 いずれにしてもどうにも後味の良くない、嫌な事象である。

 さて、NHK幹部には会長の政府を援護射撃をする発言を始め、百田尚樹・経営委員には自らが支持する都知事候補者のライバルを人間のゴミと呼ぶような暴言などが相次いでいるが、またひとり右翼的行為をやっていた経営委員が明らかになった。そのお人は、昨秋百田氏とともに新たに経営委員になった埼玉大学名誉教授の長谷川三千子氏だ。長谷川氏は、1993年10月に「週刊朝日」の風刺漫画に抗議すると言って右翼政治団体代表の野村秋介が朝日新聞社社長室へ乗り込み、社長との話し合いの最中に朝日と刺し違えるとその場で拳銃により自殺したが、その野村氏へ昨年10月追悼文を寄稿していたことが分った。その文たるやとても教養人とは思えない唯我独尊的なもので「『すめらみこと いやさか』と彼が3回唱えたとき~今上陛下は(『人間宣言』が何と言おうと、日本国憲法が何と言おうと)ふたたび現御神となられた」と書いたのだ。これが、不偏不党で公平な立場の人の考え方と受け取ることができようか。

 長谷川氏の専攻は比較思想、日本文化論であるが、元々は哲学者である。ただ、教育的にかなりレベルの高い家系に育った人で、父方祖父母は、文学者の野上豊一郎、野上弥生子で、母方祖父は市河三喜だから並ではない。だが、これだけのインテリ家庭に育った女性でありながら、意外なことに女性や女権に対してほとんど理解を示さず厳しい立場を取っている。特に男女共同参画社会については批判的で、女性が家で子を産み育て男性が妻と子を養うのが合理的と主張している。また、女性に社会進出を促す男女雇用機会均等法の思想は個人の生き方への干渉だと批判し、政府に対して誤りを反省して方向を転ずべきだと求めている。こういう一見政府とも対立しそうな保守派と思える思想家が、どうして安倍首相のお墨付きでNHK経営委員に推薦されたのかよく分らない。実際その人が軽薄な言動を繰り返していたのだ。

 公平な人間を選ぶ際に時の政府が選び、そのトップである首相が任命するというプロセスがおかしいのではないだろうか。

2014年2月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com