5474.2022年8月16日(火) つまらない新聞連載小説

 一昨日朝日新聞朝刊の連載小説「白鶴亮翅(はっかくりょうし)」が最終回を迎えた。作者の多和田葉子氏には申し訳ないが、この半年間の連載小説は読んでいて高揚感がなくつまらない内容の小説だった。読んでいて一向に興味が湧いて来ないので、2か月ほど前に疑問を抱いた。朝日ともあろうものが、どうしてこんなつまらない小説を毎日載せなければいけないのかと・・・。芥川賞作家でもある多和田氏は、この小説で一体何を書こうとしているのか、まったく見当がつかなかった。父親もハンブルク大学院の修士課程を修了したようにドイツに関する専門家で、ドイツに長年居住している作家だけに、ドイツ事情に詳しくドイツらしいお国柄を窺わせる個性的な生活面の著者独自の見解、描写や、ドイツ人らしい思索的、かつ哲学的な人間関係でも書いてくれるかなと期待していた。しかし、最後まで意図が不明のまま最終回に至り、失望感が残った。

 この小説が興味を与えてくれなかった大きな理由として、主人公は夫が帰国するに当たってドイツへ残り翻訳家としてひとりで生活しながら、普段は自宅周辺から大きく足を伸ばさず、交友関係もごく限られた数人ほどしかおらず、動きが自宅周辺から広がらなかったことである。従って自分から離れた外の描写がはっきりしていなかった。小説に登場する男性は、お隣の独身男Mだけで、いつのまにやらMの男性パートナーが入れ替わって住んでいる。とにかく世間が狭い場面の連続だった

 朝日の連載小説というのは、過去にも吉田修一の「悪人」を途中で読むのを諦めたことがある。当時吉田は乗りに乗っていた作家だったが、その割にこれもつまらなかった。朝日では2017年に在日コリアン作家・柳美里氏どういう内々のトラブルがあったのか、連載中だった「沈黙の町で」を連載途中で中止するという前代未聞の不祥事があった。その点では、昨日から連載を始めた直木賞作家・今村翔吾の「人よ、花よ」は、スタートから馬にまたがった多聞丸、楠木正行が田んぼのあぜ道を走り去るようにスピード感に溢れているので、期待したいと思っている。

 そもそも新聞連載小説は、小説を読むことが第一の目的ではなく、新聞記事を読んだ序でに毎日読み続けるものだ。失礼ながら、必ずしも読みたいと願って読むものではなく、読まされて気がついたら面白く引き込まれていたというような小説が望ましい。近年あまりを読まなくなった人が多くなったせいか、今では、朝日の夕刊から小説はなくなり、朝刊だけになってしまった。

 初めて新聞連載小説を続けて読んだのは、中学3年時に読売新聞朝刊に連載された、子母澤寛著「父子鷹」だった。勝海舟父子の生活や海舟の成長過程が良く描けていて感銘を受けたものである。

 さて、今日も暑かった。相変わらず東北地方や北陸地方には激しい雨が襲っているが、東京は晴れ上がり、今日も36.4℃の6日ぶりの猛暑日となった。全国で最高気温は、栃木県佐野市の38.8℃だった。明日以降は、降雨があるようなので、暫くは猛暑から逃れられるようだが、まだまだ爽やかな風が吹くのは先のことのようだ。

2022年8月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com