5446.2022年7月19日(火) 安倍元首相国葬と旧統一教会

 安倍晋三元首相が銃撃により殺害されてから、同情と哀悼から安倍氏に対する実績を評価する声が高まっているような気がしている。長期政権の過程で利己的な言動により、多くの反対意見を受け入れず思うがままの政治を行ってきた対価としては、買い被りの感が強い。殺害された奈良市内の現場では、昨日まで献花台が設けられていたが、連日追悼に訪れる人の列は途絶えることがなかった。自民党本部の献花台にも昨日までの5日間で1万8千人が訪れ、エマニエル米駐日大使ら百人を超える要人が記帳に訪れた。いかに生前さほどの評価をされなくとも、不幸で悲劇的な災難に遭えば、つい同情する日本人の特性であろうか。

 その安倍元首相の死に対していち早く岸田首相は、国葬で名誉を弔うことを閣議決定して公表し、その直後いずこからも強い反対意見もなく実施は既成事実化されてしまった。しばらくして安倍氏の死は国葬に値するものかと良識ある人々の間で反対の声が上がり、同時にいくらかかるのか不透明だが、国葬にかかる費用が相当な額になることなどから、野党の一部や国民の間にも反対意見が出て来た。

 それに対して、自民党茂木敏充幹事長は、今朝の記者会見で「法律上も全く問題ない。国葬は極めてふさわしい、適切なあり方だ」と述べた。その上で野党の反対は国民の認識とはかなりずれているのではないかとまで付け加えた。昨日まで3日間行われたNHK世論調査によれば、国葬に対して問題ないと応えたひとが49%だったのに対して、そぐわないと応えた人は38%だったという。国民が徐々に保守化していることのひとつの証左である。自民党議員は安倍氏の名前と実績を有利に利用して、安倍同情票を取り込もうとの腹積もりであることは明白である。次期総選挙で山口県の安倍氏の後任として、身代わりに安倍昭恵夫人を立てるようなお涙頂戴の動きも垣間見える。安倍氏への追悼は本音ではなく、ただその著名度と事件を党勢に有利に利用しようとしただけなのではないだろうか。

 国葬の他にも、安倍氏を撃った山上某容疑者が恨んだ「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に絡んだ話題が、後から後から出ている。元首相がイベントにビデオ・メッセージを送ったことなどが、少なからず関わっていたと勘繰られている。容疑者の犯した行為は絶対許せないが、その原因となった旧統一教会こそが問題だとばかり、旧統一教会に関するあることないことが曝け出されている。元信者の赤裸々な声や、容疑者の伯父の告白、旧統一教会への献金、霊感商法、関係ある政治家、などから旧統一教会に対する批判的な声が引きも切らない。旧統一教会に対してこれまで元信者らの相談に与って来た弁護士からも、協会は事実に反する声明を出していると批判されている。テレビでもかなり取り上げられているが、いつまでもこのままの報道を続けることはそろそろ止めて、容疑者の殺人容疑の調査、追及と旧統一教会の実態解明を一旦切り離した方がスムーズに全体像が分かり易いと思う。それにしても全般的に後味の悪い嫌な事件である。

2022年7月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com