3297.2016年5月23日(月) 不可解なホワイトハウスの策略

 近づく伊勢志摩サミットでは先進7カ国の首脳が集まり、世界が抱えている数々の課題を協議することになっているが、それ以上に日米間ではオバマ大統領の原爆被災地・広島訪問が注目を集めている。そこへ米軍属による日本人女性殺害事件が日米間に新たな難しい問題を提起した。

 更にホワイトハウスが唐突に仕掛けた、釈然としない問題が表面化した。それはオバマ大統領の広島訪問に、第2次大戦中日本軍の捕虜だった元米軍人、ダニエル・クローリーさん(90)の同行が決まったことである。この元軍人は「全米バターン・コレヒドール防衛兵記念協会」に所属しているが、戦時中フィリピンで日本軍の捕虜となり日本へ連行されて足尾銅山で働かされたという。また、戦時中炎下の中をフィリピンのバターン半島を歩かされた「バターン死の行進」が、日本人の残酷さをアメリカ人に強く訴えた。それにつながるコレヒドール島の収容所生活も米人捕虜の記憶には耐えがたいものであろう。かつて日本陸軍兵士のご遺族とともに、マニラからコレヒドール島へ渡り、島内のトンネルの入り口近くで慰霊祭を行ったことがある。

 だが、今回大統領とともに元捕虜が広島を訪れる件については、彼がこの時期に敢えて広島へ行く目的がどうもよく分からない。それなら今までにいくらでも訪れる機会は作れた筈ではないだろうか。どうもオバマ大統領の広島訪問を心良からず思っている在郷軍人会の元軍人や、極右の人たちが、大統領の広島訪問は謝罪をしないにしても原爆投下は良くないと日本人や、世界中の人々に思われて訪問の意味が減殺されると考えているようだ。原爆投下地への訪問の対極として彼ら元捕虜への虐待に日本は謝罪の意思表示をすべきであり、自分たちの行為は間違っていなかったとの正当性をアピールするための戦術ではないか。

 なぜオバマ大統領が出発する時になって、アメリカ政府は突然このような不可解な行動に及んだのか、真意は測りかねるが、ホワイトハウス側から彼らに意思確認を行った末にアメリカ政府から事の次第が公表されたことを考えると、内心アメリカ政府がオバマ大統領の広島訪問を端から望んでいないということが窺い知れるのではないか。なぜこんな大切なことが、いとも簡単に決まってしまうのか。日本が知らぬ間にアメリカの姑息な術で手球に取られている。外務省は、まったく外交音痴であることを暴露したようなものではないか。

 伊勢志摩サミットでも、アメリカは日本の為替管理に口を出してくると思う。安倍政権は何を以って戦後最良の日米同盟関係と言うことができるのか。

2016年5月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com