5424.2022年6月27日(月) 第1次大戦前保津峡を下った話題の皇太子

 今朝の朝日新聞「天声人語」を読んで、不思議な興味を覚えた。明日は1914 年に第1次世界大戦勃発の発端となったオーストリアの皇太子が、セルビアの1青年の凶弾に倒れた衝撃的な1日である。実際の第1次大戦の戦闘は、1か月後の7月28日に始まった。爾来108年になる。興味深く思ったのは、皇太子が死の21年前に日本を訪れ、京都で保津峡下りを楽しんだとのくだりである。中学時代を嵐山に近い京都市内桂で過ごしたが、偶々通学していた京都市立上桂中学校(現桂中学校)の外側の公道を嵐山まで下った舟が、南隻もトラックに積まれて再び出発地点まで運ばれる光景が2階の教室からしばしば見られた。父親が舟の船頭をしていた同級生もいた。

 その運命の皇太子は、「オーストリア皇太子の日本日記」にこんなことを書き残していた。「か弱き舟は木っ端みじんかと覚悟したとき、なんと舵がきられ・・・すんでのところで舟はかすめ過ぎた」。これほど保津峡下りの舟の扱いをうまく捉えて描写したのは、感受性が豊かな人だと分る。実際遊船組合の理事長さんも「川の流れの理(ことわり)に合わせ、勢いに乗りつつ、あるところまで来たら人間の力と判断で岩をかわす」と語っている。この後は天声人語氏の言葉であるが、「まるで国の舵取りではないか。ここぞという局面で打つ手をあやまてば、国民を乗せた舟は巨岩を避けられない」と至極当然のことを述べている。

 私自身実際に保津峡下りを楽しんだことはないが、動画で観る限り船頭の責任は重大である。全ての組織のトップは、この船頭のように責任を充分承知のうえで能力を発揮して事に当たっていることと思う。その責任を放り出して好き勝手に動いている政治家はいないだろうか。最近では、知床半島遊覧船沈没事故の経営者は間違いなく、無責任な会社経営を行って岩にぶち当たっていた。
 さて、ロシアでルーブル建てロシア国債の支払いを西欧の金融機関に拒絶されてからロシア国債のデフォルト(債務不履行)が懸念されていたが、昨日支払い猶予期間が終わり、ロシアはデフォルト状態に陥った。元々ドル建て債とユーロ建て債の利息計約1億㌦(約135億円)は、5月27日に期日を迎えて昨日までは支払い猶予期間に入っていた。ロシア側はベルギーの国際決済機関に送金したと述べていたが、制裁により期日までに利息が国外の国債保有者に届かず、債務不履行と見なされた。

 これまでロシアはデフォルトを物ともせずと強気だったが、現実にデフォルトが現実になるとこれまでの強気を装うことも難しくなり、ウクライナ戦線にも影響が現れるのではないだろうか。

 そこへ今日からドイツのエルマウで日本も出席して開催された主要7か国首脳会議(G7サミット)で、ロシアからの新たなる金の輸入禁止を取り決める予定である。金はロシアにとって主要な輸出品で、販売額は昨年約2兆円に上った。金の輸入禁止は、ロシアの資金調整能力に影響を与え、ロシアの金取引を市場から締め出すことで、イギリスのジョンソン首相の「プーチン大統領の戦争マシンの心臓部を攻撃する」という狙いである。さて、プーチンはどう動くだろうか。

2022年6月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com