ウクライナのヤヌコビッチ政権が崩壊し、ヤヌコビッチ前大統領はどこへ姿を隠したのか、その行方がようとして分からない。暫定政権は前大統領を指名手配してその行方を追っている。ここへきて前大統領の隠匿資産が公開されてテレビでも豪華な邸宅、数多くのドイツ製高級車、シャンデリア、東京ドームの30倍に当たる敷地内のゴルフ場や動物園、池に浮かぶ軍艦まがいの模型の船等々常識を超える蓄財ぶりが格好の批判の対象となって、多くの見学者が訪れている。
ロシア政府の後ろ盾の下で多額の賄賂により市民感情からは考えられない感覚で資産を得たが、、驕る平家は久しからずを地で行く形になった。つい2年前チュニジア、リビア、エジプトなどで「アラブの春」により失脚した独裁者たちの末路も哀れだった。インドネシアのスカルノ大統領の追放、フィリピンのマルコス大統領の国外追放、ルーマニアのチャウシェスク大統領夫妻の公開処刑など過去半世紀の間に世界で失脚した大物独裁者も同じ道をたどってきた。
やはり一旦権力を握るとそれを手放すことに後ろ向きになり、権力の維持に集中して周囲が見えなくなってくる。それだからこそ民主政治が受け入れられる素地や正当性が生まれる。
一番難しいのは、独裁者を追放したまではいいが、その後を継いだリーダーが追放を主導した人たちが満足できる民主的な政治を行っていけるのかどうかということである。実際いまエジプトの混迷は、その後継者が民主的な選挙で選ばれていながら反対勢力と軍部によりその座を追われるという迷走を繰り返しているのだ。
その点で、今日は戦争の足音が聞こえてきた昭和11年の2.26事件勃発の記念日であり、暗い時代を反省する意味でエポック・メーキングな日である。ところが、年々この種の事件を伝えるテレビ番組や新聞記事はどんどん少なくなっている。その中で昨日NHKが放映した「徹底検証 2.26事件」を今日録画で観た。昨年の再放送ものである。内容的には陸軍内で対立していた「皇道派」と「統制派」の違いを分かりやすく説明してくれたので、その違いを理解することができた。それにしても考えようによっては、現在だって下手をすると太平洋戦争開戦前夜と似た状況にあると言えないこともない。温故知新ということでもないが、かつての暗かった時代の歴史を振り返り、反省するためにも、もっと事件が起きた今日2月26日にこそ2.26事件を広く啓蒙し、国民が真剣に考えてみるべきではないだろうか。