2481.2014年2月27日(木) 権力の腐敗

 今日の朝日「天声人語」に比喩的で面白い話が紹介されている。昨今のウクライナのヤヌコビッチ前大統領の資産隠匿と蒸発について触れたものである。イギリス人歴史家アクトン卿の言葉「権力は腐敗する。絶対的な権力は絶対的に腐敗する」に対して政治学者のあの丸山真男教授が、人間は性悪だというのは正確な表現ではなく、人間とは実は「取扱注意」の品物で「善い方にも悪い方にも転び、状況によって天使になったり悪魔になったりするから」だと述べていたことを取り上げている。このコラムでは「腐敗した『悪い』権力を倒したウクライナの人々が、これからどんな新しい秩序を作り出すのか。善い方に転ぶことを願うが、しばらくの間は取扱注意だろう」と結んでいる。

 この通りだとするなら、いま権力を集めつつある安倍晋三首相は、丸山教授のお見立ての通り「取扱注意」人物であり善くもなり、悪くもなる可能性を秘めている。首相はいま権力志向が極めて強くなっており、よほど周囲がしっかり監視していないとわが道を往くとばかりに、アクトン卿の懸念する通りその権力を腐敗する恐れがある。

 ところが最近のメディアは、政治家の言動に対して厳しく間違いを指摘し追求しているとはとても思えない。集団的自衛権にせよ、憲法解釈変更問題にせよ、教育委員会制度見直しにしても一度は取り上げてもその後はまったく政府与党の好きなようにさせている感じである。これも権力の腐敗に手を貸していると受け取られても止むを得まい。

 さて、今日の朝日にもうひとつ「世界が見た安倍首相」という特集記事で「靖国参拝 米の識者が分析」との記事が掲載されている。その中でジョージタウン大学ケビン・ドーク教授が安倍首相の靖国参拝に好意的な意見を述べているのには驚いた。以前安倍首相が自分の靖国参拝に同意しているアメリカ人識者がいると語っていたが、どうやらこのドーク教授のことを指していたようだ。記事に掲載された他の2人は、「日中の衝突、巻き添え懸念」とか、「安保政策を自ら傷つけた」と手厳しい。考えはいろいろあろうが、靖国参拝を肯定する気持ちにはとてもなれないし、インテリのアメリカ人が靖国参拝に賛意を示したのには「失望した」。

2014年2月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com