5417.2022年6月20日(月) 寂しいニュース、加山雄三・歌手引退と書店閉店

 コロナ禍とロシアのウクライナ侵攻という2つのニュースに相も変わらず暗い気持ちにさせられている今日、別の意味で寂しいニュースが伝えられた。

 ひとつは、85歳にして俳優として、また歌手としても活躍している加山雄三が、今年9月に東京国際フォーラムのコンサートを最後に、今後コンサート、及び歌手生活から引退するという。シンガー・ソングライターの草分けとしてこれまで数々の名曲を世に送り出し、その傍ら大ヒット作となった青春映画「若大将シリーズ」の主役として長らく人気者だった。他にも多彩な特技を持ち、絵画を始め、スキー、ヨットの愛好家としても知られた。まだ独身だったころ、自宅近くの湘南鵠沼海岸から茅ヶ崎方面へ向かうと海岸沿いに目につく立派な建物があった。加山家が投資していた茅ヶ崎パシフィック・ホテルだった。父や兄弟たちとその地下のボーリング場でボーリングを楽しんだことが何度かあった。一度だけまだ存命だった加山の父、上原謙さんがボーリングをやっていたのを見かけたが、来ているジャンパーの背に洒落て‘WAYHARA’と書かれていたのが、印象的でよく覚えている。あれはきっとフランク・シナトラが唄い、加山が最も好きな曲、‘MY WAY’に肖って名付けたのではないかと思ったものだ。一部でスキャンダラスに伝えられたあのホテルの倒産により、加山は多額の負債を負い、返済までに10年を要したという。今でもあの近くを訪れると、幻のホテルが目に浮かんで来る。

 今ではホテルは姿を消してしまったが、加山にとって不幸にもその後2018年には愛用のクルーザー「光進丸」を火災で失い、更に19年に続き20年にも脳梗塞で倒れた。それでも昨年念願の武道館で復活コンサートを行ったのをテレビで観た。湘南ビーチボーイであり、年齢的にも1年半ばかり先輩であり大学も同じだったが、在学中にキャンパス内で顔を見たことはなかった。しかし、今でもあれだけの明るく爽やかな名曲を作った才能には、敬服している。まだまだ作曲家としては活動するそうだから、新たなヒット曲を期待したいと思う。

 もうひとつ、寂しい思いを抱いているのは、去る17日に地下鉄赤坂駅周辺の文教堂赤坂店が閉店して、あの赤坂駅近くにも書店がすべてなくなったという憂鬱なニュースである。先に神保町のランドマークとして良心的な映画や講演会を開催していた岩波ホールが、来月一杯で閉館になるという情報があった。ここでも何度か映画の名作を鑑賞したことがある。それもなくなるというのに、更に書店が全くなくなり、文化的な施設がなくなるというのは、異常のように思え、寂しさも普通ではない。近くはオフィス街でもあり、サラリーマンが気軽に立ち寄れる書店が消えてしまったのだ。

 書店が街から消えてしまったのには、一般に本を読まなくなったという近年の若者の読書離れ現象が大分影響しているが、その他に販売ルートが、書店ではなくアマゾンのような通販を通して購入する方法が普及したことや、電子書籍化の普及もその一因に挙げられている。

 偶々現在拙著「八十冒険爺の言いたい放題」の電子書籍化を依頼していて、この数日は原稿の校正を行っている最中である。確かに電子書籍は、一般の書籍とはちょっと違うような印象を受けている。もし、電子書籍化された拙著の販売成績が上がるなら、これも街から書店が姿を消すひとつの原因になり得るということになるのだろうか。

2022年6月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com