5415.2022年6月18日(土) ロシア人の被害者意識って本当?

 ロシアによるウクライナ侵攻は、一向に衰える兆しはなく、東部ルハンシク州ではロシア軍の絶え間ない砲撃により工場から出ることは不可能で、セベロドネツクのアゾト化学工場のシェルター内には子ども38人を含む、568人が閉じ込められていると州知事が明らかにした。ロシア軍の攻撃が強まれば、欧米の兵器支援を受けたウクライナ軍は反撃し、現状は東部地区で膠着状態で、いつ戦火が収まるのかは全く見通しが立っていない。すでにウクライナ国民4,400万人の内702万人が国外へ脱出避難しており、国内は戦禍に晒され国としての秩序と機能が成り立たない。そんな時に今日のNHKテレビでイギリスのBBCが、昨日ロシアのラブロフ外相にインタビューした画面を放映していたが、記者からウクライナへの侵攻について批判されたことに対して、ロシアは特別軍事作戦を立て、それを宣言しているだけだと嘘八百を述べていた。デタラメを言うにもほどがあるが、一国の外相が世界へ伝えられるテレビでよくもこういう戯けたことを言うものだとその良識のなさに呆れたところだ。

 相変わらず、欧米を主にロシアへの非難が激しいが、その最中にロシアの第2の都市、サンクトペテルスブルグで開かれた国際経済フォーラムは、例年日欧米各国約140カ国が出席するが、今年はかなり減って中国、インド等の他は、アラブ、アフリカ等のロシアからの招待国の出席だけとなった。アフガニスタンからタリバンが出席していたのには驚いた。強気のプーチン大統領は「欧米のロシアに対する経済電撃制裁は失敗した」と語り、むしろ制裁は欧米の経済に打撃を与えていると豪語していた。特に現在世界中を苦しめている食料危機やエネルギー問題は欧米の誤った経済政策によるもので、ウクライナ軍事作戦とは何の関係もないと他人事のように、ロシア国内の影響には触れることなく、欧米を非難した。

 ところで、非難轟々のロシアについて興味深い報道があった。昨日の朝日夕刊一面にロシア人、及びロシア国家の体質について興味深い記事が載っていた。プーチン大統領のウクライナ侵攻は、欧米を主とする国際社会から国際的には国際法違反として厳しい批判を浴びているが、多くのロシア国民には支持されているというものである。その理由としてナチス・ドイツなどの侵略を受けた過去からつくられた「いつもロシアは攻撃される」という被害者意識があるという。そして、ロシアがそのような意識を引きずるのはなぜなのかという疑問である。

 ロシア人のトラウマとなっているのは、1812年のナポレオン軍との祖国戦争と、1941年第2次世界大戦下のナチス・ドイツ軍による侵略戦争であり、ご多聞に漏れずプーチン氏自身戦争体験はなくともナチ・ドイツ軍の侵略が頭から消えないのだろう。祖国戦争の折は、ロシアではポーランドやドイツ兵も含めたナポレオン軍約70万人がロシアに侵攻し、モスクワ郊外のボロジノで数万の兵士が戦死した歴史を忘れないために、毎年5月に同地で「ボロジノの戦い」を再現するイベントが開かれるという。同地の博物館長は、「歴史を見れば、ロシアが攻撃を受けずに100年以上を過ごしたことはない。ロシアから攻撃をしたことは1度もなく、ただ防衛してきただけ」だと主張しているというが、終戦直後すでに日本が降伏して武器を放棄したのに強引に北方領土へ上陸し、今日まで日本領土を不法に占領しているのは何だったのか。博物館長は本心からそう思って述べているのか、或いは実態を知らないのか、どうも彼らの詭弁には疑念が消えない。

2022年6月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com