5410.2022年6月13日(月) 大学いろいろ、「恐竜学部」とは?

 新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、小学校から大学まで教育機関がその対応に右往左往した挙句に、今では小学校でマスクを体育時には外すとか、下校時には外しても良いが、会話はしないように指導しているようだ。それが、現実的に可能なのか疑問でもある。大学では、新入生がリモート授業ばかりで大学生活で重要な友だち作りが出来ないと嘆きの声が上がっている。その大学で近年組織改革が行われているニュースをしばしば耳にする。

 そんな時に近畿大学の大学案内書が、美人女学生をリストアップして美人コンテストをPRするその内容が疑問視され、大学がこのようなPR記事を掲載することは大学を貶めるものではないかと揶揄されもした。

 他にも世間を騒がせた田中英寿・前日大理事長が13年間君臨して多額の所得税法違反で逮捕、追放され、新たに日大OGで作家の林真理子氏が後任に決定した。 

 大学本来のニュースとしては、新たに大学の合併も生まれた。今年4月の新年度から大阪の2つの公立大学が合併して、新しい大阪公立大学として再スタートを切ったところである。2つの大学とは、ひとつは大阪府立大学で堺市に本部のある歴史的伝統校であり、もうひとつはより伝統のある大阪市立大学で、かつては大阪商業高等学校と呼ばれて一橋大(旧東京商大)、神戸大(旧神戸高商)と並び、旧3商業帝大と呼ばれた大阪市内の名門大学である。これまで府立大学の専門課程は、普通使われる「学部」という呼称ではなく、「域」と呼ばれ、4つの域からなっていた。一方の市立大学は文理系合わせて8学部から構成されていた。2つの大学を合わせると5つのキャンパスに分散されていたが、これを2025年までに羽曳野キャンパスを閉鎖して、新たに森之宮キャンパスを開設する。本部を大阪市阿倍野区に置き、全体として、1「域」11「学部」の総合大学となる。今年入学する公立大学第1期生となる新入生も少々戸惑うのではないかと思う。

 両大学がひとつの大学として統合されたのは、同じ地域に公立大学が2つもある効率性をひとつに統合して効果的にしようとの意図があったことは想像出来るが、その他に大阪府、大阪市ともに近年大阪で力を伸ばしてきた政党「大阪維新の会」出身の政治家がトップを占めるようになったことが、話を先へ進めることにもなった。政治的な思惑や経費節減などの理由はともかく、大学とは学生が学び、研究して学術面で成果を上げることを目指すものだと思う。学生たちが心置きなく勉学に勤しめる環境を提供することが出来るかどうかが最も大切ではないかと思う。

 もうひとつ大学に関して珍しい話題があった。それは福井県立大学に、2025年4月に新学部「恐竜学部」(仮称)を新設、開講の予定があることである。確かに福井県ではJR福井駅前に3頭の恐竜のモニュメントが飾られ、県民にとっても古代恐竜の化石が発掘されたことは誇りのひとつでもあるようだ。しかし、大学に「恐竜学部」まで新設して恐竜を学ぶ研究施設が必要なのだろうか。首を傾げたくなる。入学定員は30名のようであるが、大学に教えることが出来る教授が充分いるのだろうか。北大や東大に恐竜を研究する生物学専門家はいるが、そう多くいるわけではない。そんなスケールで学部まで設置して、仮に卒業生が研究成果を生かした就職口を見つけることが出来るだろうか。どうも現実感がない。持続性に疑問を持たれている「恐竜学部」が、「古代生物埋没学部」にならないことを願うばかりである。

2022年6月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com