5409.2022年6月12日(日) 出しゃばり世襲政治家・安倍晋三

 自由奔放に振舞っていた昔の権威ある立場や、脚光を浴びた恵まれた現役生活を去ると寂しいものだと思う。華やかな場にいてちやほやされていた往時が忘れられないようだが、それも致し方あるまい。時の経過とともに人びとは忘れていく。しかし、政治的権力者ほどその地位に固執しようとし、人々が忘れていくことを寂しく思うものだ。その点では、安倍晋三元首相のように首相在任期間が長かった人は、とりわけ首相の座を去っても良き時代を忘れられないようだ。

 このところ安倍元首相に関するニュースがしばしば報道され、それを多くの人がいろいろツイッターなどで発信しているのが目につく。多数派の安倍派を率いるようになって本人も積極的に発言することを潔しと考えたようだ。岸田内閣に軍事費を国内総生産(GDP)の2%超を要求し、財政健全化案に反対の言動を取ったり、財政健全化推進会議で「過去30年間のわが国の経済成長は主要先進国の中で最低レベル」とか、「初任給は30年前と変わらず、国際的に易い人件費の日本になりつつある」との提言案に対して、アベノミクスを主導したにも拘わらず、メンツをつぶされたと考えたのか安倍氏は、安倍派の越智隆雄・元内閣府副大臣に直接電話をしてアベノミクスを批判するのかとイチャモンをつけたと「日刊ゲンダイ」に取り上げられた。アベノミクスの実績に相当自信があったようだ。

 これらは、自らの政策に関する自信に裏付けられた言い分と判るが、相変わらず首を傾げるような言動も数多く厳しい指摘を浴びている。そして、安倍氏の最大の不誠実は、公にされた不祥事に対して誠実に応える態度を示さず、依然として無視しようとする不遜な姿勢である

 森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、自死した近畿財務局職員の損害賠償を訴えた職員の妻には国が事実を認めて終結したが、妻が安倍元首相へ求めた真相解明への説明は一向に知らぬが仏を決め込んでいる。そこへ最近は、安倍氏後援会員が出席した「桜前夜祭」の夕食会が再びクローズアップされ、その場のビールはサントリーから提供され、会場のホテルニュー・オータニが持ち込み料金を要求しなかったことが、改めて公職選挙法違反の疑いがあると指摘されている。それらの疑問に対して、安倍氏は一向に応えようとしない。それでいて、自衛隊の戦力増強を主とする軍事費の増額には、派閥の長として積極的な発言をしている。

 どうして成すべきことをせずに、成さずとも済むことを行おうとするのか、行政の長を去って2年足らずだが、自らの存在をアピールすることには、人一倍積極的である。世間は忘れようとしているのに亡霊にしがみついて過去を追っているようだ。戦後生まれでまだ70歳前の安倍氏は、マッカーサー元帥を知らず、マッカーサーが残した名言「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」もまるで知らないようだ。

2022年6月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com