5408.2022年6月11日(土) 1兆円企業5社誕生の裏で顧客関係にヒビ

 コロナ禍により経済界は厳しい試練に遇い、観光業、交通業を主に経営がままならない企業は枚挙に暇がない。株式市場こそ表面的にはその影響がさほど表れてはおらず、今年1月以降の半年間に東証株価は、年初の2,822円から昨日の終値2,782円まで▲9.1%であるが、この3か月の株価を見てみると3月10日2,569円から昨日の終値までに8.3%も上がっている。だが、円安が大きく進み、年初は1㌦=115円だった相場が、1㌦=134円となり、円安は16%も進んだことになる。これが日本経済に大きな影響を与えていることは間違いない。

 ついては、コロナ禍の拡大影響を防止するため停止していた外国人旅行者の入国を昨日から再開した。当面添乗員付団体旅行に限定とか、ビザ取得、ワクチン接種証明など面倒な手続きが求められており、鎖国は解除されたとは言え、多くの外国人が訪日するにはまだ時間がかかりそうだ。だが、外国人旅行者にとって円安は大いなるメリットで、コロナ禍前の2019年の訪日観光客が3千万人超から昨年の25万人にまで激減したインバウンド業界を含めて、すべての観光市場がいずれ息を吹き返すことを期待したい。

 円安で潤うのは、外国人旅行客を扱うインバウンド業界ばかりではない。実は、2022年3月期決算で、意外にも東京証券取引場上場企業の34%が過去最高益を計上したと公表された。いかに円安効果があるとは言え、この不景気な時節に普通では考えられない現象である。そこには、その裏で弱い者いじめの阿漕な商取引が行われていたようだ。濡れ手に粟の「利益1兆円企業」に搾り取られた中小企業の苦悩が隠されていたのだ。

 その1例を探ってみたい。今期純利益1兆円企業にランクされたのは、何と5社もあった。トヨタ自動車の2兆8千億円は別格として、次いで三菱商事、ソニー、NTT、日本郵船の5社である。業界筋で話題になっているのが、5位の日本郵船が前期比で6.2倍の純利益を計上したことである。実は、郵船を含む商船三井、川崎汽船の海運大手3社の利益額が、かつてないほどの巨額の利益を上げたが、その裏では荷主を虐げ絶句させていたのだ。というのは、海運業界の好調の背景には、円安も貢献したが、この3社独特の商法があった。3社はコンテナ定期船事業部門だけを切り離し、オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)という別会社を創設して運賃の歴史的ともいえる上昇により破格の利益を生みだしたのだ。その反面長年の顧客である荷主は苦しんでいる。今期世界的に石油関連の輸出入が増えコンテナ船が不足して、荷主はONEに頭を下げて平時の10倍以上の運賃を支払わされた暴利の結果だという。荷主の恨み辛みは募るばかりであろう。三菱商事や、1兆円には僅かに手が届かなかった三井物産等の総合商社にも、液化天然ガス(LNG)や、鉄鉱石など金属資源の市況高騰が利益をもたらした。

 一時的なコロナ禍対策などにより、円滑だった業者と顧客の宥和的なビジネス関係に今後波風が立たなければ良いがと願っている。

 さて、今日糖尿病クリニックで4週間ぶりに診察してもらったところ、徐々に回復に向かっていた糖尿病の数値HbA1cがこれまで長らく6点台だったが、それが壁を破り5.9まで下がった。これにより常用薬ジャヌビア50㎎を明日から25㎎へ半減することになった。ひとまずホッとしている。

2022年6月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com