2490.2014年3月8日(日) 人の気持ちを弄んだ偽の全聾作曲家

 高校時代の親友5人と一緒に6人グループで毎年この時期に昼食会を行っているが、今日は生憎ひとりが仕事のため来られず、5人になってしまった。話題はお決まりの健康問題と、私の近作に関することが多かった。5人のうち2人が心臓に問題を抱えている。拙著は母校に関する話題をかなり取り上げているので、同窓生としては関心があるということなのだろう。しかし、戦中戦後にかけて母校内に別に私立の旧制中学が併設されていたことは誰も知らなかった。やはり隠れた校史だったということが分かる。5人のうち2人は野球部中途退部組だったので、殊のほか母校の甲子園優勝に関する興味が強いようだった。

 本来なら今日の昼食会はちょうど1カ月前に行う計画だったが、当日は生憎の大雪で今日へ延ばした。5人それぞれに健康問題を抱えているが、見掛け上は元気そうだったので、取り敢えずほっとしている。拙著の上梓と出版記念会を楽しみにしていると言ってくれたので、できるだけ早く日時を決めたい。

 さて、稀代の大法螺吹き、「現代のベートーベン」と言われた偽の全聾作曲家・佐村河内守氏が昨日記者会見を行った。これまで18年間に亘ってゴーストライターが作曲した曲を耳は聞こえないが、自分が絶対音感で作曲していたと世間を騙し続けていたが、先月実際に作曲していたゴーストライターの新垣隆と名乗る人物がその事実をばらしたのである。新垣氏の暴露によって自ら謝罪と事実を明かすというのが、佐村河内氏の見解である。しかし、鉄面皮というべきであろうか、この期に及んで佐村河内氏は嘘をついている新垣氏を許せないと言って、挙句の果てに名誉棄損で訴えるなどと口走っている。

 よくも長い間に亘って世間に嘘をつき通してきたものだというのが率直な感想である。当事者にとって気の毒で許せないのは、被ばく2世の立場を利用して交響曲「HIROSHIMA」を世に出して広島市民から同情を買ったり、東日本大震災で母親を亡くした子どもとその祖母を騙すようなストーリーを都合良く作り上げて作曲したり、人の弱みや悲しみにつけこむような行為を行ったことである。佐村河内氏は全聾ではなく、聞きにくいところがあるという程度のものだった。いつかはばれると思いながら、怖くて止められなかったとも言っていたが、実の作曲者新垣氏や妻の母親への対応を考えるととてもまともな人間の所業とも思えない。人の気持ちを弄んだ罪は重いと思う。偽作曲家を偽物と気付かず本物としてこれまで報道してきた、偽音楽評論家、作曲家、テレビ、新聞などにもそれなりの責任があると思う。それにしても善意を悪用する輩が相変わらず絶えないのは、何とも嘆かわしい。

2014年3月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com