5392.2022年5月26日(木) 銃乱射社会から抜け出せないアメリカ

 昨日アメリカ・テキサス州の小学校で、18歳になったばかりの地元の高校生が銃を持ち込んで乱射して生徒19人を含む21人を殺害した。アメリカ社会の最大の闇であり、悩みでもある銃乱射事件がまた発生したのだ。

 日韓訪問から帰国したばかりのバイデン大統領は、衝撃を受け「いったいいつになったら我々は、銃ロビーに立ち向かうのか」と嘆き、「こんな乱射事件は世界のほかの場所ではない」と落胆したスピーチを行った。実際アメリカでは銃乱射事件が当たり前となり、昨年だけでも26件も発生した。大統領が述べたように、これほど乱暴な世界はアメリカ以外にはない。事件の原因は、誰もが承知しているが、成人になれば簡単に銃を手に出来ることが最大の原因である。この銃の自由販売を禁止する以外に事件の再発を防ぐことは出来ないと思う。いずこの国でも、銃所持には厳しい規制がある。ところが、アメリカだけは西部開拓時代からの伝統があり、自分の身を護るのは自分だとの信念がある。しかし、この現代社会で警察機構も整備された時代にあって、今以て銃で自分の身を護ることを信念としているのは、時代錯誤ではないか。結果的に自分の身を自ら守れず、他人から殺害されるという悲劇に遭遇している。

 そんな自らの身を自ら護るとの一見潔さが、社会に殺人事件を蔓延らせて危険な世相を招来しているのは、国家にとってもマイナスではないだろうか。

 実は、法律による銃規制が一向に進められない大きな原因は、我利我欲の政治家たちの銃規制に対する後ろ向きの姿勢が強いからである。彼らは、銃砲製造会社から政治資金を恵んでもらい銃の法制化を防止しているのだ。過去においても同じような銃乱射事件が起きる都度、法制化の声が上がるが、これを抑圧するのが銃社会をバックに政界へ乗り出した私欲たっぷりの政治家たちである。

 実際この度のテキサス州小学校の事件では、共和党のアボット州知事は早速記者会見したが、法規制についてはまったく言及しなかった。一般的に共和党議員の間に銃規制に後ろ向きの議員が多い。

 しかし、このまま放っておいて良いものだろうか。もっと自浄作用が働いても良さそうなものだ。今やアメリカ国民の人口より、銃の数の方が多いという実情がある。

 民主党のバイデン大統領は、法規制を匂わせる発言をしているが、果たしてどこまでアメリカ世論を巻き込み、悪の根源を断ち切る行動を起こし、広げていくことが出来るだろうか。いつまでもこの悪循環を絶てなければ、21世紀アメリカ社会はヒトゴロシが自由奔放に暴れ回った無軌道社会だったと後世の人たちから笑い者になるだろう。

2022年5月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com