5387.2022年5月21日(土) ホテルと百貨店ビルの懐かしい想い出

 昨晩NHK・BSテレビで新宿の小田急百貨店ビルに関するドキュメンタリー番組が放映されると知り、小田急関係の知人らにも連絡した。「すこぶるアガるビル」という珍しいタイトルの番組で、東京オリンピック前後に建設されたホテル・ニューオータニと小田急百貨店新宿店の効率性と特異性、更に建設に至る歴史も合わせて紹介された。中々見どころの多い番組で、観ていて懐かしい気持ちにもなった。

 ホテル・ニューオータニは、東京オリンピック開催に備えて外国人観光客の宿泊施設不足を懸念した東京都の要請に応じて、元大名屋敷敷地内に豪華な邸宅と広大な土地を所有していた創業者・大谷米太郎氏が莫大な資産と資金を提供して建設され、創業当初は屋上の回転式レストランが話題となったものである。私もあのデラックスな回転式レストランでディナーをいただいたことがある。昨日初めて知ったのだが、その回転は2018年に停止になったという。大谷氏が食事中のゲスト全員に富士山を見せてあげたいとの心遣いから、敢えて1時間内に1回転する動くレストランとして計画されたものだったが、ストップしてしまったとは泉下の大谷翁もさぞややるせない思いであろう。

 ニューオータニは、私にとっては結婚披露宴を行ったホテルで、披露宴会場も番組で事細かに説明していた豪華な「芙蓉の間」を間仕切りされた一角だった。その晩はホテルに泊まり、翌朝東南アジアへ新婚旅行に旅立った。思えば第2の人生の出発点となったホテルでもある。

 小田急百貨店については、これを設計したル・コルビュジェの弟子、坂倉準三事務所の方が、小田急線、営団地下鉄、旧国鉄、京王線が集中する広大な駅構内を人の行き来がスムーズに流れるように、かつ全般的に明るく分かり易さを狙って設計したと語っていた。地下1階は、70年安保やベトナム反戦のフォークゲリラでも有名になった場所であり、当時上司からこの周辺には近づくなと釘を刺されたことを思い出す。

 当時この一角は、国鉄新宿駅に接続して小田急と営団地下鉄の土地に小田急百貨店ビルが建てられたが、来年には残念ながら由緒あるその百貨店ビルは取り壊され、超高層ビルに建て替えるプロジェクトが進行中とかねてより聞いており、寂寞の感に捉われている。

 いずれも想い出がいっぱい詰まったビルである。小田急百貨店ビルには、数年前までテナントとして入店していた三省堂書店で、拙著出版の都度平積みにして販売してもらった。その三省堂も今では退店してしまい昔日の感がする。新型コロナウィルス感染により、百貨店のお客さんも少なくなったようだ。だが、今でもお中元とお歳暮の時期には必ず訪れている。時代の流れとともに変貌するのは止むを得ない。ニューオータニだって、あの一等地に広い敷地面積と耐久年数を考えると、やがて超々高層ビルに建て替えられる可能性も有り得ないわけではない。昨晩のテレビは、いつまでも若かった時代を想い出させてくれる記憶に残るドキュメントだった。

2022年5月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com