5386.2022年5月20日(金) コロナ感染が拡大する北朝鮮の惨状

 3年間もコロナ禍に苦しめられている世界の中で、唯一コロナ感染者は1人もいないと公言していた北朝鮮で、今月8日に初めて新型コロナウィルスの感染者が確認された。その後感染者が急激に増え続け、昨日までに198万人が発症したという。これは北朝鮮全人口の8%に当たる。

 中国のある情報通は、元々北朝鮮の無感染者状態自体が信用出来なかったとして、これまでの北朝鮮の防疫体制を批判していた。その後金正恩・総書記は初めてマスクを着け、建国以来の大動乱であるとまで強い危機感を示したが、同時に治療体制の不備を指摘し、放出した備蓄医薬品が届いていないとか、薬局を視察した後に薬の保管場所もない薬局など基準に達していないとして、自分自身の反省もなく公衆衛生当局を批判するばかりで、かなり苛立っている様子が窺えた。しかし、今以て国際ワクチン供給プロジェクト(COVAX)からのワクチン提供を拒んでいる。それでいて総書記本人は、ファイザー社製ワクチンの接種を済ませたと言われている。

 北朝鮮国内では、コロナに対する防疫として原始的な「よもぎの葉で部屋を喚起する」とか、「ショウガ湯」や「塩水」でうがいをすることが奨励されていた。その非科学的対応がどれほど効用があったのだろうか分からない。北朝鮮にコロナ患者がいなかったこと自体とても信じられず、少しはいたことは認めざるを得ないようだ。それが今月初旬になって急増したのは、4月25日夜、朝鮮人民革命軍創設90周年記念に合わせ、金正恩総書記就任10周年の実績をPRして行われた過去最大の軍事パレードが終わった後のことである。テレビニュースでも目にしたが、夜間に派手にライトアップされた中で軍隊によって大陸弾道弾ICBMや、極超音速ミサイルが披露され、それを見守る熱狂的な国民のノーマスク姿が人目を惹いた。それがコロナ感染拡大に繋がったとも推測されている。これらミサイルを公開することによって、国威発揚と同時に日米韓を強くけん制する狙いがある。

 そして、予定通りアメリカのバイデン大統領は就任後初めて、今日日韓両国訪問へ旅立った。韓国訪問を終えて22日に日本を訪れ、翌23日に皇居を訪れ天皇にお会いになった後、岸田首相と首脳会談を行う予定である。その後、24日に日米首脳に交じってオーストラリア、インドの4カ国が加わり4カ国(クアッド)首脳会議を開く。

 北朝鮮はこの機会を捉えて、またまたミサイルを発射するのではないかと噂されている。ミサイルを発射するのは、国内向けに国威発揚のプロパガンダである。ロケット開発に巨額の投資をして、その結果国民を劣悪な生活に追い詰めて彼らを絞り上げ、特に地方では「北朝鮮には太った人はまずいない」と言われるように食料不足と栄養失調で国民の生活は最低レベルにまで落ち込んでいる。

 こういう時に、お祭り騒ぎのような派手な軍事パレードを行い、ミサイル発射も行おうとしている。果たして、バイデン大統領が日韓訪問中に愚かな支配者・金正恩総書記はマスクを着けてミサイル発射の現場に立つことがあるだろうか。

2022年5月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com