2497.2014年3月15日(土) 八重山諸島の小さな町と国の対立

 いま中学校の「公民」教科書選定問題で遠く離れた沖縄の1教育委員会と文科省の間でもめている。どうして小さな町と国家権力の間がこじれているのか。教科書選定について文科省が推薦するA教科書会社の教科書を武富町教委が受け入れようとせず、独自にB社の教科書を採用したいと主張して調整がとれないからである。 

 そもそもA社は「新しい歴史教科書をつくる会」系統の会社で政府の意向を酌んでいる。これが竹富町の考えに合わなかったと考えられている。難しいのは教科書の選定を決めるのは、竹富町だけのエリアではなく八重山地区と言い、他に石垣市と与那国町を含めた3つの自治体が1つになった同一教科書採択地区で、他の2市町が文科省の案を受け入れているからである。

 これを文科省が竹富町教委に対して「共同採択地区で同一教科書の使用を義務づけた無償措置法に反する」として地方自治法に基づく是正要求を出した。国から1市町村に対して強い措置が出されたのは初めてである。

 もともと自民党内には、教科書採択の現状に不満が強い。大半の教委が日教組の影響を受けていると見ているからだ。これまでも、義務教育の最終責任は国が担うとして教委に圧力をかけてきた。そこで今回のような文科省の意向を聞き入れようとしない機会を捉えて一気に強権発動を行ったと思う。

 教育に対する政治の介入と見られることを恐れて政府もあまり強引な対応はできないところだが、文科省に反すれば教科書無償を適用させないことなどで締めつけようとしている。

 自治体行政学の金井利行東大教授は「教科書無償措置法に基づき、採択地区内では同一の教科書を採択する必要があるが、違法なのは竹富町だけでなく、協議を尽くさなかった同地区内の石垣市、与那国町も同じだ。文科省が竹富町のみに是正の要求をしたのは不公平で、文科省も三者協議が進むようにすべき」と文科省の姿勢を問題視している。

 どうなるのか、国も力づくで小さな町を押さえつけるのは少しやり過ぎではないか。下村文科相は安倍首相の強い信頼の下に文部行政を任せられており、現在沖縄問題で頭の痛い首相が表には出ていないが、沖縄に対する安倍首相の怨念が乗り移って遮二無二沖縄の小さな町を抑圧しようとしているように感じられてならない。金井教授のアドバイスを国は何と理解するか。

2014年3月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com