2499.2014年3月17日(月) クリミア、ロシア領へ編入か。

 ソチ・パラリンピックが閉幕した。オリンピックほどではないが、パラリンピックも結構派手に紹介され、閉会式でパラリンピックらしく‘Impossible’と書かれていた電光板の文字が冒頭のImを削除して‘Possible’に変わるかと思いきや、‘I’m possible’となっていたところが面白かった。アルペン座位競技のように猛スピードで滑り降り、元々身体が不自由な選手たちが転んで再び怪我でもするのではないかと心配したくらい出場選手たちは真剣に気持ちを込めてプレイしていたと思う。2020年東京オリンピックもパラリンピックと同時期開催となるので、日本人にもかなりアピールするのではないだろうか。

 そのソチにほど近いウクライナのクリミア自治共和国で行われた住民投票の結果、クリミア独立票は予想通り投票総数の96.77%を得た。やっぱりか。この結果を受けて自治国首相はウクライナからの「独立」を宣言すると表明した。いずれ「ロシア編入」の動きを加速させることになるだろう。もとよりクリミアは全住民の6割強がロシア人の自治国で、タタール人のような他の少数民族が投票行使をしなかったせいもあって、圧倒的にロシア寄りの結果となった。

 問題はこれからである。この住民投票はウクライナの憲法に違反しているとして、投票自体を認めない欧米諸国はロシアに対して追加制裁措置を実行すると発表した。

 オバマ米大統領は「住民投票はウクライナ憲法に違反し、ロシアの軍事介入による脅迫のもとで行われた」と指摘する一方で、ロシアのプーチン大統領は「住民投票は国際法と国連憲章に完全に合致している」と反論している。結局現状はロシアと欧米との綱引きになっているが、どちらの言い分にも、受け取り方によっては、一理はあると言えるような気もする。住民が国を選ぶのは、ひとつの権利でもある。上司が嫌で、部下が全員別の上司の方が働きやすいということになったら、会社としてはそれに応じることはあるだろう。ただ、ロシアがクリミア住民に強引に軍事力を見せつけて恐怖感の下で住民投票を行ったことは無法である。この点は責められるべきであろう。また、ウクライナ憲法に違反していることも問題である。

 今回の騒動の発端は、ウクライナ政界が不安定で、それにしびれを切らしたデモが発生し、国会内の対立がごちゃごちゃになって自信を失ったロシアシンパの大統領が夜逃げをしたことが騒ぎに火を点けた。そのドサクサにつけこんだ覇権主義国家ロシアが外堀を埋めて利用価値の高いクリミアへ武力侵入して既成事実を重ね住民投票へ持ち込んだというのが、大体の筋書きである。

 これから険しいロードを歩むことになるクリミアとウクライナの一体感は、もはや消えてしまった。覆水盆に返らずである。かつて第2次世界大戦終盤に、ルーズベルト、チャーチル、スターリンの間で終戦について話合われたヤルタ会談が開かれた近くの土地で、下手をすると戦火が再び点火されるかも知れない。冷戦再びか。皮肉な話である。

2014年3月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com