大分陽気が良くなって全国各地から桜便りが聞かれる。今年の冬は例年になく寒かったせいで、桜の開花が遅れているようだ。それでも急速に開花宣言がされて、何となく日本中に華やいだムードが漂い出した。その代わり寂しいことに今まで春近しを思わせていたわが庭の梅の花も大分散ってしまった。しかし、こういう春夏秋冬の季節を感じさせてくれるのが、日本の自然の良さであろう。
さて、ウクライナ、特にクリミア問題についてセルビアの山崎洋さんから先日の卓見に次いで、再び現地の近くに住む人間として意見を送ってくれた。オバマ米大統領がブリュッセルにおける演説で、クリミアのロシア化とコソボのセルビアからの離脱とは異なると述べたことに対して、コソボ問題の実態を知る社会学者としての毅然とした考えで反論した。
オバマ大統領はこう述べたようである。「NATOが介入したのは、コソボの人たちが何年にもわたってシステマチックに虐待され、殺された結果である。コソボがセルビアから離脱したのは、住民投票の結果であり、その住民投票は国際法に反して行われたのではなく、国連やコソボの隣接諸国との協力の下に注意深く準備されたものだった。クリミアで起こったことには、そのどれもが妥当しない」。それに対してコソボ情勢をよく知る彼は「そのどれもが事実に妥当しないことを平然と述べて、しかもその間違った見解に基づいて何千人ものセルビア市民を殺戮し、さらに最悪の場合には、何千人ものウクライナ人とロシア人が死ぬかもしれない危険な政策を米国民のみならず、他のヨーロッパの国民にも(日本国民にも)強いる」と反論している。彼はオバマ大統領のスピーチ内容は日本には伝えられていないだろうと言っている。つまり日本のメディアの報道には、情報の裏にある事実を見逃しているという彼の思いがあるようだ。確かにこのスピーチは日本に伝えられていない。
ここには民族自立、自治権の尊重、他国の非干渉、等々複雑な問題が含まれていて、どれが正しいのか分かりにくい。それ故こうあるべきだと主張することは一層難しい。我々は知る限りの正確な情報を得て、自分の信念と正義に基づいて判断するより方法はない。その意味で正確な情報をできる限りメディアやその他のソースから得たい。そればかりでなく、現地で自分自身が、また現地の情報機関から進んで正しい情報を得ることが重要である。
私自身が得た限られたメディア情報から判断するなら、やはりロシアのクリミア化は横暴であり、国際法にも違反するものであり、容認することはできないと思う。