昨日から今日にかけて新聞、テレビ・ニュース並びにテレビ・エンタメ番組では、いずれもそのトップ扱いは昨日記者会見したSTAP細胞論文を発表した小保方晴子氏である。小保方氏は論文に不正があり、「捏造」と「改ざん」と切り捨てた理化学研究所に対して、3日前に不服申し立てを行い、昨日自ら記者会見を開いて反論した。これが大きな話題を呼んで、日本中が大騒ぎしているというのが現状である。
記者会見で謝罪すべきは謝罪し、自らの考えを直接訴えたのは善しとして、専門家や科学者の間では、論文の疑問を晴らすには説得力がないとして反って批判的な意見の方が多いようだ。
1月に論文を発表し画期的な発見として世間をあっと言わせた頃は、小保方氏が割烹着を着た庶民的なイメージを与えて新しいタイプの若き研究者の登場を歓迎する声が多かった。残念ながら、いまでは科学者としての倫理観の欠如や、科学者として未熟過ぎるとして評価が下がり始めている。
捏造、或いは改ざんと決めつけられた論文について、蔵田伸雄・北大教授は「一般的に研究者は実験で自分の立てた仮設に都合の悪い結果が出てしまった場合、そのデータを捨て、仮設を正当に証明できるデータが得られるのを待つ。だが、小保方晴子氏はSTAP論文のDNA解析画像でそれをせず、切り張りで見栄えを良くするという安易な道を選んだ」と手厳しい。更に追い打ちをかけるように、科学者として基礎的倫理観が身に付いていないとか、知的誠実さに欠けている、加えて科学者として資質に欠けるとまでこきおろされてしまった。
小保方氏はSTAP細胞は実際に存在するのかとの質問に対して、200回ほど作製したと応えていたが、これに対しても在野ではそれを証明するものを示すよう求められている。フランスのAFP通信から「インチキ」と言われ、イギリスのメディアからは「赤っ恥」と酷評され、いまや下がるところまで落ちてしまった。
近々理化学研究所も再調査を行うようだが、小保方氏との間に溝ができて、泥試合の様相を呈してきた。小保方氏の倫理観の欠如ということは、これ以上追及しても今更どうなるものでもない。理研の研究員に対する指導方法にも問題がある。両者が対立するのではなく、落とし所を考えて幕引きを考えてはどうだろうか。さもないと英仏のメディアが辛辣なコメントを述べたように、今後海外で日本の科学に対する信用が失墜することが心配である。