2525.2014年4月12日(土) 危うい新エネルギー基本計画

 案の定政府が昨日閣議決定した新たなエネルギー基本計画は、朝日を始めメディアから厳しい反発を買っている。例えば、朝日の一面にずばっと書いてある「解説」では、「これが原発事故を起こした国が再出発する指針なのか。民意を離れ、早くも原発依存に回帰するエネルギー基本計画を決めた。これでは日本は変わらない」と手厳しい。

 折も折昨日から広島で核兵器を保有しない12カ国による国際会議「核軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」の外相会議が開かれている。被爆地・広島で初めて開かれた核廃絶を目指す会議で、岸田文雄外相は広島から核兵器のない世界に向け、力強いメッセージを発出する機会だと述べたが、直接人間を殺戮する核兵器と人類の力の及ばないところで核が放射される原発とはその根っこにおいて重なる部分がある。岸田外相の発言は、一方で核兵器を止めようとしながらも、他方で原発稼働のための核使用は容認しようとしている。言うこととやることが矛盾しているのではないか。岸田外相はこうも言っている。「核兵器の非人道性を、国際社会を結束させる触媒にする」。原発だって事故の可能性は限りなくあり、その危険性は予測もできない。仮に事故が起きたら、その影響は計り知れないほど大きくなる。考えようによっては核兵器以上に非人道的ではないのか。オランダのフランス・ティマーマンス外相が「核兵器の問題は地政学的な軍事問題として扱われがちだが、人間の問題として考えなければならない」と述べているように、核兵器にせよ、原発にせよ、人間の問題である。どうも日本の政治家は本質とか、物事の根本に目を向けないきらいがある。

 福島第1原発事故以来3年あまりが経過した。佐藤雄平・福島県知事は、昨日決められたエネルギー基本計画について、事故の教訓が忘れられ、すでに風化が進んでいると批判している。とにかく自民党国会議員は都合の悪いことは忘れっぽく、うそつきが多い。こういう人たちが国政を司っているのだから、どうにも救いようがない。

2014年4月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com