2528.2014年4月15日(火) アカデミー賞作品を鑑賞

 「20」「45」「31」。この数字は昨日NHKが実施した世論調査の原発「賛成」「反対」「分からない」のパーセンテージである。回答者は千名強であるから日本国民のごく一部であるが、それでも賛成が反対の半分にも及ばないことを考え、他の同じ調査から考えても国民の原発に対する考えが極端にこの比率と変わることはないと思う。これだけ原発再稼働について国民の多くが反対している。

 このように原発再稼働に対して反対の声が多い中で、新たに反原発を力づける動きがあった。2月の東京都知事選で手を携えた細川護熙元首相と小泉純一郎元首相が、この機会に脱原発を目指す一般社団法人「自然エネルギー推進会議」設立に力を貸すことになった。統一地方選などでも脱原発候補者を支援することも検討するという。後援者にすごい人たちが名を連ねている。哲学者・梅原猛氏、市川猿之助、吉永小百合らまさに多士済々である。何とか原発推進の動きを後退させて欲しいものである。

 さて、毎年今頃になると普段あまり映画を観ないのに観たいような気持させられる作品が出てくる。アカデミー賞が発表され、その中に興味深い作品があり、つい観たい気持ちにさせられるからである。今年は観てみたい作品が3点もあった。そのひとつを今日観賞した。今年のアカデミー賞の作品賞、脚本賞、助演女優賞を得た「それでも夜は明ける」(原語‘RIVERROAD’)で、奴隷解放前のアメリカ南部の綿花農家を舞台に黒人奴隷たちがこき使われる筋書きである。白人の残忍さ、耐え忍ぶ奴隷、裏切り、非倫理性など、1840年代のアメリカ社会の恥部を描いている。

 ブラッド・ピッドが出演しているので、当然主役だと思っていたが、さに非ず、ほんのチョイ役で存在感も薄かった。主役の自由黒人ソロモン・ノーサップを演じたキウェテル・イジョフォーと奴隷主人「エッブス」を演じたマイケル・ファスベンダーの演技が冴えていると思っていたが、彼らには何の賞も授けられず、途中から準主役「パッツィー」を演じたルピタ・ニョンゴに助演女優賞が授けられた。

 奴隷制度下の非人間的な扱いと暴力、特に鞭打ち刑や裏切り行為は観ていて終始おぞましく暗いイメージがつきまとったが、時代と舞台設定が暗黒の時代だっただけに止むを得ないところなのだろう。

 しかし、アメリカ映画には珍しく恋愛も家庭愛もなく、暴力に次ぐ暴力である。奴隷制度の欠点を徹底的に糾弾する考えの下に、民主主義と平等を高揚する製作意図を感じさせる。意欲的な作品ではあるが、だからと言って強く感動するほどの秀作であるようには思えなかった。

 監督が一世を風靡したスティーブ・マックウィーンと同姓同名だったが、こちらは黒人だった。

 あと2本観てみたいのは、アンジェイ・ワイダ監督のポーランド映画「ワレサ 連帯の男」と、泰緬鉄道を舞台にした「レイルウェイ 運命の旅路」である。前者はまもなく公開終了するので、一両日中に何とかして観てみたいと思っている。

2014年4月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com