2537.2014年4月24日(木) 予断を許さないTPP交渉の行方

 昨夕来日した国賓オバマ大統領の行動がいろいろな角度からテレビで報道されている。今回の来日の大きなポイントのひとつは、「日本の施政下にある領域での武力攻撃について日米が共通の危険に対処するように行動する」と安保条約第5条に謳われている施政権が尖閣諸島にも及ぶと大統領が初めて明言したことである。この点を日本サイドとしては高く評価している。

 その一方で、TPP交渉が未だにまとまらない。その気配すら見えない。まだ折り合えない点がいくつもあるようだが、その中でも最大の議論になっているのが、牛肉の関税である。現在日本が課している38.5%の輸入関税をアメリカが撤廃に近い要求をして譲らないことである。先般日本とオーストラリアとの関税交渉で、同じように38.5%を20%に大きく下げて交渉妥結した。日本としてはこの辺りの数値でまとめたいと考えていた節があるが、アメリカはそんな程度では納得しない。もうひとつややこしいのは、自動車の規制緩和である。アメリカの車は、そのままでは日本の安全基準に抵触し日本へ輸出できない。安全性の観点からもアメリカの基準に合わせるわけにいかない点が悩ましい。

 これらの点からTPPの交渉妥結は折り合いがつかない。このため共同声明の発表ができない。今月に入ってから40時間も甘利明担当大臣とフロマン通商代表部代表の間で交渉を重ねながら一向に道筋が見えない。甘利大臣からはもう2度と担当大臣をやりたくないと弱音とも、さじを投げたとも言える発言が出た。

 国の利益を背にした交渉とはいかに難しいものかということが分かってくる。

2014年4月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com