5307.2021年11月22日(月) 軽石と酒税軽減廃止で厳しくなる沖縄経済

 8月中旬に硫黄島の南方、福徳岡の場の海底噴火により吹き飛ばされた砕石が、沖縄近海から沖縄本島の海岸に軽石となり黒潮に乗って流され、沿岸漁業に大きな被害を与えている。港に押し寄せた軽石で漁船が海へ出られず、官民一体となって懸命な除去作業が続けられている。当初懸念されていたのは、この軽石群が黒潮に乗って北上し日本列島沿岸に流れ着くことである。そしてそれらしい軽石が、数日前に伊豆諸島で発見され、三宅島や神津島では港に防護網を張って軽石が入り込むのを防いでいる。漁も取り止め漁業には深刻な影を落としている。幸いこの一連の騒ぎで犠牲者は出ていないが、今後このままの状態だとすると、更に抜き打ち的な噴火によって犠牲者が生れないとも限らない。上空から眺めると沿岸を白っぽい物体が流れているのが見える。沿岸に近づけないような対策を考えることが必要である。

 これまでこのような自然災害は経験したことがなかったが、地元でもどうやって災難を避けたら良いのか知恵が浮かばなかったようだ。今後さらに日本列島沿いに北上を続けるなら、その損害は計り知れないものとなる。更に、同じような海底噴火が起きたら、また同じ憂き目を見る。いつ爆発するか分からないが、その可能性は考えられるので、本格的な予防対策を講じる必要がある。これほど大規模な災害に対しては、とても1漁協や個人の力では限界があるので、自治体として、また国としていかなる防護策を講じたら良いのか、早急に議論を進め結論を出すべきである。

 ところで、軽石襲来の被害を受けた沖縄では、沖縄振興特別措置法(沖振法)により沖縄県産酒類への軽減措置があることを寡聞にして知らなかった。確かに沖縄経済は、本土に比べて厳しい。1972年に本土復帰となり、本土と同じ課税では中小の製造会社の多い沖縄の酒造業界では、とても本土に太刀打ちできないと特例措置として、酒税を大きく減税した。どれだけ減税されたかと言えば、泡盛(180ml)で、本土なら酒税54円のところを、35%減税して35円である。ビールは本土なら70円の税を20%引きで56円にしている。それでもこのコロナ禍で沖縄酒造業界はほとんど赤字経営が続いている。

 だが、来年は日本へ復帰して半世紀となり、特例措置にいつまでも頼っているわけにはいかない。そこで業界では沖振法の事実上の延長を求めつつ、いずれ同法の廃止を視野に入れている。それは、県の酒造組合が、即時減税廃止ではなく、段階的な減税によって2032年5月までに減税措置を廃止することを内閣府に提案していることである。県内唯一のビール会社、オリオンビールは27年5月まで現行の軽減率の継続を希望している。いずれにせよ、沖縄の自立的発展を目指しながらも沖縄経済の発展につれ減税措置は廃止されるだろう。

 その他にも沖縄振興開発金融公庫が、行政改革推進法により日本政策金融公庫に統合される予定である。コロナ前まで観光業で潤っていた沖縄経済も、漸く独り立ちへ踏み出すのだろうか。

2021年11月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com