5305.2021年11月20日(土) 理不尽で貰い得の国会議員の「文通費」

 先日来、たった1日だけの在任に1か月分支給する理不尽な国会議員の文書通信交通滞在費(文通費)について、来月召集の臨時国会で日割り支給を可能とする改正歳費法の成立を目指す、と自民党と立憲民主党の間で何とか意見の一致をみた。

 1か月分の支給については、偶々当選したばかりの「日本維新の会」新人議員が驚いて公にした。各党でも本音では不味いと思ったのか、慌てて法律改正に動き、上記結論に及んだものであるが、本旨に欠けた改正には失望している。

 問題は、もっと根深いところにある。まず、国会議員には給与に当たる歳費、月額129万4千円とボーナス年2回の約630万円が支払われている。その他に特権としてひとり当たり毎月65万円の立法事務費が、所属する会派宛に支払われている。その新幹線パス、毎月地元と東京を往復出来る航空券引換券まで支給されている。これらとは別に闇献金のような「文通費」が、全議員に毎月100万円も支払われているのだ。しかもこの文通費は、「公の書類の発送や通信費などのため」と規定されているにも拘わらず、実際には領収書もなく何に使われたのかはまるで不明瞭である。そして、これまで日割りの規定がなく毎月ごとに支払い、領収書提出は不必要で、非課税で、使途の報告義務もないという抜け穴だらけのお小遣いのようなものである。これでは文通費で何をやっても良いということになるではないか。遊興費に使用しても問題なく、大麻も麻薬も購入出来る。国民はこんな特権を国家の代表たる国会議員に与えたわけではなく、彼らが自分勝手に悪用して散財しているだけである。

 これを都合よく利用していた議員たちは、やり玉に挙げられた「日割り」だけを収めようとして早々に法律改正を図ろうとしている。これでは問題の本質は未解決のまま取り残される。インターネットの普及など時代の変化によって文通費を支給する意味が大分薄れてきたのに加えて、領収書の不提出でまったく使途が不明である。これでは国民からとても納得を得られない。第2の給与と揶揄される所以である。

 今更ながら国会議員はやりたい放題で狡いなあと思う、と同時に彼らは国会内で悪知恵ばかり身に着けているのではないかと疑心暗鬼にならざるを得ない。好い加減にしてもらいたい。

 さて、日大板橋病院改築工事で背任事件が問題になっているが、文部科学省が設置した有識者会議が、私立大学の経営体制をめぐって大幅な制度改正を求める報告書を来月文科省に提出する。それによると学校法人の最高議決機関を学長らが中心の理事会から、学外の構成員だけの組織に変えようという思い切った改正のようだ。流石に全員を外部の人間にするのは如何かとも思うが、案の定この改正案に対して私立大学側が猛反発を示したようだ。

 確かに今回の日大背任事件を見ると、相撲部出身の田中英寿理事長に権限が一極集中して、日大理事会はまったくガバナンスが機能していない。しかも3年前のアメリカン・フットボール部の悪質タックル問題も、あやふやなうちに日大は闇に葬ってしまったとの印象がある。加えて同年東京医科大の不正入学問題のような不祥事もあった。

 今後どういう形で伏魔殿のような大学理事会に外の声、良識が反映されるか、興味を持って見守りたい。

2021年11月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com