昨日国連ユネスコのイコモスから富岡製糸場が世界文化遺産として高い評価を得たと文化庁が公表したせいか、まだ正式に世界遺産として登録が認められていないのにも拘わらず、昨日は昨年同日の2.7倍の見学者が訪れた。大いに結構であるが、登録当初だけの熱気にならないよう心して欲しいものである。
さて、ウクライナ情勢が一向に好転せず、クリミア半島の分離、自治権獲得に続いてウクライナ東部で親ロシア派が政府施設を占拠した状態に決着をつけるべく、10日前に会議を開いたばかりである。米、EU、ロ、ウクライナ4カ国の外相が占拠されている政府庁舎は明け渡されるべきと合意していたが、実行に移されていない。それどころか、東部国境近くのロシア領内でロシア軍が軍事演習を始めている有様である。ロシアの腹は同地域をクリミア半島と同じやり方で、操ろうとしていることは明白である。
ロシアのやり方を見ていると、かつてド・ゴール大統領がフランス人の多いカナダ・ケベック州を訪れた時、フランス系カナダ人の集会でケベック州のカナダからの独立をけしかけた演説を行って、国内外から強烈なブーイングを浴びてカナダ政府に謝罪したことを思い出す。現在ロシアのプーチン大統領がウクライナ国内のロシア系住民に共鳴するがごときスピーチを繰り返しているが、所詮ド・ゴール大統領のコピーのように見えてくる。ロシアの覇権主義は、終戦直後に日本の北方領土を強引に自国領土に編入して悪びれない行動を見ていても分かる。その侵略主義は今でこそ中国に取って代わられたが、大国意識だけは相も変わらず旺盛である。
今日の朝日朝刊「読書」欄に高校の同級生・中西準子さんの著書が紹介されていた。「原発事故と放射線のリスク学」(日本評論社発行)と題して、リスクの専門家らしく福島原発の事故の被害について書いているようだ。独立行政法人・産業技術総合研究所フェローとして相変わらず元気にリスク情報を発信しているのは、同級生として頼もしい限りである。