財政制度等審議会がほぼ半世紀先の2060年度の財政状態の試算を発表した。それによると国と自治体を合わせた負債、つまり借金が8157兆円に達するという。人口一人当たりに換算すると9400万円というから溜息が出るばかりである。1万円札を積み上げると8万㎞、地球2周分に匹敵するというからちょっと想像もできない金額である。
先進国の中で最も多額の借金を負い以前から警報は発せられていた。これに対して将来世代に借金を残すのは問題であると時々真っ当な改善策を提案する有識者はいた。だが、自分のためと自分の選挙区のために利益誘導を行っては悉く借金を無視して、大判振る舞いをしては血税を湯水の如く浪費してきたのは政治家である。国家、国民のことを考えなければならない彼らが、自分のことと選挙区のことしか考えないのだから、今日の悲観的な数値も止むを得ないと諦めるより仕方がないのだろうか。政治家の私利私欲のために、このツケを将来に亘って我々国民が背負い続けて行かなければならないとしたら、あまりにも理不尽ではないか。
今に始まったことではないが、国のことより自分たちのことだけを考える政治家には呆れるばかりである。恐らくこんな悲観的な財政状況が公表されても、近いうちに政治家から改善案なり、実行のための提言が出されることはあるまい。
いつになったら財政を立て直し、安心できる経済運営をやってくれるのか。
さて、お隣の韓国の旅客船沈没事故が発生してすでに2週間が経過するが、韓国国内では今も変わらず救助活動が続いている。今日現在犠牲者は189名で、行方不明者はまだ113名もいる。事故がこれほど大きくなった理由が少しずつ明らかになってきた。政府も家族や国民から強い批判を浴び、ついに今日首相が辞意を表明した。聞けば聞くほど呆れる理由が明かされる。
政府の対応、船会社の安全対策、避難誘導の方法、船員のモラルと知識不足等々いくらもある。いずれ捜索が終わった時点で改めて詳しい原因調査が行われるだろう。
三流国と非難、揶揄される国家の在り方ももちろん責任を問われるべきであるが、外国ばかりでなくわが国も三流国と責められても抗弁できないことが明らかになった。それは何とノーベル賞受賞者・山中伸弥京大教授が、論文のコピペをやったとして記者会見で謝罪したのである。
1カ月ほど前国会に参考人として呼ばれた山中教授は、近頃の若い研究者の未熟さと至らなさを散々こきおろしていたばかりである。今日明らかにされた山中教授のケースは、実験ノートが保存されていなかったということから、小保方さんらのコピペとは事情が違うようだが、それにしてもちょっとお粗末ではないか。先日小保方晴子理化学研究所ユニット・リーダーの論文不正、さらに一昨日その小保方さんの論文不正を調査する委員会の委員長が同じくコピペを行っていたとして委員長を辞任した。同じような事件が相次ぐものだが、それにしてもこれほど論文で他人が行った実験結果を黙って借用することが、何のためらいもなく行われていたことにおぞましさを憶える。
これまでも噂には上がっていたが、これほど文系・理系を問わず論文のコピペが日常化していたとするなら、学会ばかりではなく国を挙げて反省する必要があるのではないだろうか。