大手企業のモラルとコンプライアンスが問われている。先日三菱自動車が軽自動車の燃費不正問題を謝罪したが、それが原因で大きく販売力が悪化し経営難に追い込まれ、とどのつまり日産自動車の傘下に入ることが決まった。そして昨日その責任を取り三菱自の相川哲郎社長は辞任することを発表した。ところが、その舌の根も乾かぬうちに、昨日同じ自動車業界のスズキが国の規定と異なる不適切な方法で全車種の燃費を測定していたと発表した。会社ぐるみで国と消費者を裏切ったのである。同じように車関連業界では昨年タカタが、エアバッグの異常な破裂による事故でリコールを求められ、リコール台数は全世界で1億個規模になった。こうなると経営面でも今後大きな影響が表れて来るものと懸念されている。
他にも先に東芝の不正経理問題が、会社創業以来初めての大きな赤字を生み出す結果となった。三菱もスズキも東芝のような大手企業もすべて経営者が承知したうえで不正を犯していた。確信犯だったのである。どうも経営者側に倫理観が欠如しているように思えてならない。
倫理観の欠如や公私混同疑惑は政治家だけに見られる現象だと思っていたが、思いがけずこう立て続けに大企業経営者の間に悪意ある動機が見られるようになるとは、裏切られたような気持になる。
政治面では、相変わらず舛添要一・東京都知事の公私混同疑惑について、週刊誌が後から後から新たな疑惑を暴き出し、騒ぎは一向に収まらず、都庁内へ寄せられる苦情や意見も数多く職員も対応に追われる始末である。新たに浮上した疑惑については、改めて明日舛添知事が記者会見を開くそうだが、評論家諸氏の厳しい追及に知事はきちんと応えることができるだろうか。自分と家族のことだけを思い、私的経費を公費で支払おうとするずる賢い上昇志向の人間には、所詮何を言っても信用する気になれない。
さて、一昨年4月西アフリカで忌まわしい事件が起きたが、すっかり忘れていた。それはナイジェリアで女学生約220人が、テロ組織ボコ・ハラムに誘拐、拉致されたのである。その当時世界中の注目を集めた少女集団誘拐事件である。
それが偶然にも拉致された女学生のひとりが民家近くの森の中を歩いていたところを保護された。テロ組織の中でも極めて悪質非業なボコ・ハラムはその当時革命家気取りだった。事件解決のため軍隊が掃討作戦を展開したが、効果は見られず、その後拉致された少女たちがどうなったのか情報はまったくなく安否が心配されていた。保護されたその少女は生まれたばかりの乳児を抱えていたという。ボコ・ハラムは拉致した少女たちを戦闘員の妻にするとか、奴隷として売り飛ばすと言っていたが、その少女は子どもを出産させられたのではないだろうか。あまりにも冷酷にして非道な事件である。この少女を除く他の少女たちはどうなってしまったのだろうか。彼女らの行方は今もってまったく分からないという。あまりにも非人道的な事件である。何とかして1日も早く、国連や高等難民弁務官事務所(UNHCR)、ユニセフなどが救いの手を差し伸べ助けてやることができないものだろうか。