昨日辺りからテレビ・ニュースでも報じられるようになったが、新聞ではまだ伝えられていない事件がいま世界中で注目されている。ナイジェリアの首都ラゴスで中高一貫教育の女学校がイスラム過激派「ボコ・ハラム」に襲われ、生徒約220人が誘拐された。つい最近のことかと思いきや、何と先月14日すでに発生した事件である。欧米のメディアでは大々的に報道されている。事件発生以来早や1カ月近くなるが、わが国ではほとんど伝えられていない。なぜか?この間日本ではお隣の韓国沈没船事故が毎日のように茶の間に伝えられている。いくら遠隔地のアフリカで発生した事件とは言え、世界各地に特派員を派遣しているメディアが、これだけショッキングな事件に手を拱いて報道しないというのはどういうことだろうか。
誘拐拉致犯の「ボコ・ハラム」という言葉には、西洋教育を禁ずるというような意味が込められているらしい。「ボコ・ハラム」は女性に教育を施す必要はないと前時代的なことを言っている。そして、誘拐した女生徒を国外に売りさばくと言って解放しようとしないのだから反社会的である。女生徒は1人当たり3000円程度で売り飛ばす、つまり人身売買である。こういう国辱的な過激派組織を見逃し、その乱暴を見て見ぬふりをしているのが、グッドラック・ジョナサン大統領である。名前がグッドラックとは恐れ入るが、散々賄賂や身内を身びいきするので悪評高い大統領で、敢えて組織を壊滅させようとの言葉は大統領の口からまったく聞かれない。
それにしてもこういう悪辣な反社会的事件を何が理由か知らないが、なぜ日本の新聞は伝えようとしないのか。ジャーナリズム失格ではないか。
さて、政局の不安定なタイで、今日憲法裁判所がインラック首相の人事権の介入は憲法違反に当たるとの判決を下した。これによってインラック氏は自動的に首相の職を失うことになる。同時に外相以下数名の閣僚も失職する。今でもタイ国内は保守派と反保守派の内輪もめで政治が安定しないうえに、首相が失職という事態になれば、更に事態は紛糾し、政治は停滞し社会は混迷の度を深めるのではないだろうか。すでにインラック派は、こうなることを見越して代行を選んでいた。裁判所がインラック首相に厳しい裁判官が多かったことから司法クーデターなどと揶揄されているが、この先のタイ政界は益々先行き不透明となった。23