5243.2021年9月19日(日) 出版流通業界に新たな動き

 今朝の朝日を読んで出版界の流通機構に最近思いがけない変動が起きていることを改めて知った。すでに「選択」8月号には大手出版社の小学館、講談社、集英社が、大手商社・丸紅と出版流通の新会社を設立するとの話題が報じられて関心を持っていた。朝日に依れば、講談社がネット通販のアマゾンと問屋を通さず、直接取引を始めたとある。結局、これまでは[出版社⇒取次業社(問屋)⇒書店]のルートを経て読者の手へ届けられた書籍類が、中間の問屋を除くことになったというわけだ。長年に亘ってこの流れが守られてきた出版業界にとっては、無視出来ない事態であるが、デジタル時代に入ってITが従来の古い流通ルートの整備をしたというところなのかも知れない。これまで出版業界の2大取次会社だった日本出版販売(日販)とトーハンにとっては、少々危機感が薄かったかも分からないが、放っておくわけには行くまい。ここへ来て取次業者2社も出版業界のリーダーたる講談社が直接書店と取引することを深刻に受け止めているようだ。

 今後もアマゾンが積極的に関与して直接出版社から書籍を仕入れ、ネットで直販したらかかる費用が軽減される。ただ、資本力で劣る街の書店が大手出版社並みに仕入れることは難くなり、この傾向が出版業界にとって全面的にプラスということにはならないと思う。

 若者の読書離れもあって、近年書籍販売は漸減傾向にある。昨年の書籍・雑誌の販売は、約1兆2千億円でピーク時の半分以下だというから、ちょっと寂しい。これもIT化が進み、スマホなどを容易に操れるようになったせいで若者が読書よりスマホに熱中するようになり、本を読まず、ペンで文章を書く機会が少なくなり、これが現代人の読書量を低下させ、文章力を劣化させた原因ではないかと思っている。

 さて、昨日は柳条湖事件が勃発して、満州事変へ突き進み日中戦争に突入してから90年目の忘れてはならない1日となった。その爆発現場近くでその騒乱の様子を見た福岡市内に住む101歳の元ジャーナリストが、後世のために事実を話したいと当時の様子を証言した。

 1931年、この方が当時満鉄奉天(現瀋陽)駅近くに住んでいた11歳の秋の夜に、父親から列車に何か起こるかも知れないと叩き起こされた直後に、窓が真っ赤に染まり、間もなく大音響で家が揺れた。更に砲弾の音や、着弾による地響きが続いた。父親が事前になぜ何かが起きると知っていたのか。後日日本側の砲撃で壊滅した現場に行くと、格納庫に巨大な旅客機や爆撃機が放置されていた。この爆破事件を中国側が実行したなら、日本軍の攻撃を予期して飛行機を放置しておく筈がないと、少年は事件は日本側の仕業ではないかと疑ったという。当時はこの目撃談を自由に語れない空気があったが、人生の最後が近づいて来たことから、事実を伝えたいと心境を明かされた。

 この方ばかりではなく、同じように当時の日本は、敵国を陥れるため随分無茶で不条理なウソをでっち上げて、敵国民のみならず、日本国民をも騙し苦悩させたことだろう。

 他にもたくさんあったであろう偽りの話が、明かされないまま消えてしまうことに何ともやり切れない思いである。

2021年9月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com