5242.2021年9月18日(土) 財政支出削減に熱がない総裁候補者

 台風14号が昨日福岡県へ初めて上陸し、今日は瀬戸内から東海方面を通過して、明日には温帯低気圧になって関東にやってくる。今日は朝から小雨が降ったり止んだりでその隙間にウォーキングをしようと外へ出たら、ポツンと降って来たので止めた。

 さて、昨日自民党総裁選への立候補者が4人と決まり、早速昨晩から今日にかけて4人揃ってテレビ討論会を始めた。4人ともそれぞれの考えを公に発表しているが、コロナ禍の折気に留めて欲しい財政支出の抑制、及び赤字財政の減額について、誰も意見を述べなかったことが大変気になった。彼らが地味で目立たず、さりとて後顧に憂いを残しかねない負の遺産の積み残しには、関心がないということだろうか。

 特に、気になるのは、戦争体験のない戦後派4人が揃いも揃って防衛問題にやや前のめりなことである。とりわけ高市早苗・前総務相は、安倍前首相の後押しもあり、安倍氏の積極的な防衛、靖国神社参拝などを引き継ぐなどとして右翼的発言が目立つ。日本を守る責任と称して、中国の脅威を念頭に安全保障に力を入れ、国内総生産(GDP)の1%以内と抑えられている防衛費を2%、10兆円規模に増額し、憲法第9条の改正を考えていることが特に気がかりである。偶然にも今日は柳条湖事件をきっかけに満州事変が勃発した日である。その後中国戦線へエスカレもう90年になる。

 どうして防衛問題にこれほど熱中するのか。他国のことであるが、フィリピンでは米軍基地を閉鎖して今月で30年になる。戦後長らくクラーク空軍基地とスービック海軍基地をアメリカに提供していたフィリピンが、一時的に3万5千人もの基地労働者の職場を失っても基地返還を望んだのは、基地に潜む問題点を取り除きたかったからである。駐留米軍の引き起こす問題があまりにも多いからである。それは沖縄でも同様である。基地返還の結果、基地跡地にクルーズ船などが停泊し、若者たちが集うようになり、周辺は賑わい、今では12万6千人の雇用が創出された。

 ところが日本の米軍基地では、最近沖縄で発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFOS)を含む水が普天間飛行場から下水に放出されるような事件が起きたが、米軍に甘い防衛省は、飛行場内に残っている未処理の排水を引き取って処分すると言い、処分にかかる費用約9千2百万円は日本が負担するという。こんな理不尽なことがあるだろうか。これはほんのひとつの例に過ぎないが、米軍が沖縄に駐留することによって日本側に莫大な費用がかかっている。加えてアメリカ政府は、日本にこれまで思いやり予算と称した駐留経費の一部を負担させてきたが、これを更に増額させようと考えている。

 安倍路線を継承する高市氏では、恐らく日米地位協定について譲歩するだろう。防衛費を増やし、国家の借金を更に増やすことになる。他の3人が世襲議員であるのに引き比べて、松下政経塾を足場に自らの存在を築いてきた努力は評価するが、こういう右翼的政治家が進出してきた背景には、自民党内の事なかれ主義が影響しているだろうが、国民としては最も警戒しなければならない問題である。

 昨晩高校時代の友人が、この総裁選の内情について電話で貴重な意見を話してくれたが、先日菱山郁朗・元日本テレビ政治部長がメールで伝えてくれたように、今までの総裁選より遥かに興味深いものになりそうだ。

2021年9月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com