5232.2021年9月8日(水) アフガニスタンとミヤンマーの現状

 私が普段から強い関心を抱いているアフガニスタンとミヤンマーの実情については、一般的にあまり知られているとは言い難い。とにかく今や両国とも国情が一層分かり難くなったこともある。

 このところ連日アフガン情勢について報道されてはいるが、イスラム系テロ組織集団タリバンが政権を獲得し、国際社会からは極端なイスラム教義の押しつけが懸念され、警戒されている、女性に対する教育や就職などへの厳しい制約で女性に対する差別を容認しようとするタリバンが、今日暫定政権の閣僚を一部発表した。まだすべての名前が決まったわけではないが、当然のように女性閣僚の名は見らない。最高指導者にはアクンザダ幹部が、首相にはアフンド幹部が就任した。強硬派のハッカーニ幹部が内務相に決まったが、テロ組織アルカイダと関係があると言われ、国連から制裁対象に指定され、アメリカではFBIがテロ組織の首領と見做している人物である。かつて宗教警察として恐れられた「勧善懲悪省」が復活したのも以前のやり方を踏襲しようとするサインである。アフガンとしては、20年前の9.11テロ以前に復帰するわけだが、国際社会の中で極端なイスラム教義を主張する国家が果たして、国内的にも国際的にも停滞なく平和路線を歩んで行けるのか、極めて懸念される。

 問題は、このタリバン政権のアフガニスタンを諸外国が国家として承認するかどうかである。テロ以前のタリバン政権を承認したのは、パキスタンなどたった3か国だけで、当時とあまり変わっていない異色の国家を諸外国がすんなり認めるとは思えない。現状ではどういう国家の形が出来るのか、まったく不明である。

 一方で、最近メディアで報道されることが少なくなったミヤンマーは、昨日民主派勢力が国軍に対抗して樹立した「統一政府」のドゥワラシラー副大統領が、過激な口調で国民に檄を飛ばした。非常事態を宣言し、これまでも国軍に抵抗していた普通の市民からなる武装組織「国民防衛隊」、及び国内の少数民族の武装組織に対して「直ちに国軍を攻撃せよ」と呼び掛けた。これによって国内で激しい闘争が起きることが心配である。

 しかしながら、圧倒的な武力を持つ国軍に対してこれらの組織による攻撃が勝てるとは思えない。それでも国軍に国を挙げて攻撃を仕掛けるというアクションが国軍の戦意を挫けさせることが出来るかは、分からない。これによって、ミヤンマーから逃れたロヒンギャ族が再びミヤンマーの地へ戻ることは難しくなった。このままだと国内の治安は泥沼化するばかりである。今や国連も中ロの否決の行使により国内の問題解決が難しくなった。国軍との戦いは長期化すると見られ、食料や薬などの買いだめでパニックが起きかねないと危惧されている。

 アフガンは、アメリカの介入と撤退が難題を置き去りにすることになった。反面ミヤンマーでは、他国の直接介入はなく、あくまでミヤンマー国民自身の考えと行動によって、思いがけず地獄図絵が生みだされようとしている。

 その点では、転覆しそうなこれらの国々に比べれば、政権取りごっこをしている日本は、呑気なものであり、まだましな方と言っても好いだろうか。

2021年9月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com