5181.2021年7月19日(月) トランプ前大統領から皮肉られたグレタさん

 昨晩BS・テレビ朝日で地味ではあるが、筋の通った社会派のドキュメントを放映していた。スウェーデンの環境保護活動家のグレタ・トゥーンベリさんの活動ぶりを取り上げた、2時間の報道番組「緊急提言!グレタ気候変動最前線をゆく」である。今年18歳であるが、地球温暖化防止のための防止策を提言するだけではなく、自ら山林火災など温暖化現象を体感出来る地点を訪れ、現地の人びとから最近の温暖化の傾向を聞いて、広く世界へ発信している。彼女がこの問題でメディアに姿を見せるようになったのは、彼女がまだ16歳の一昨年だった。彼女の突然の登場は関係者ばかりではなく、主要国の首脳らの目を惹いた。当時のトランプ大統領は、2019年「TIME」に最年少で「今年の人」に選ばれた彼女を評して「馬鹿げている。グレタは自分が抱えている怒りのコントロールの問題に取り組んで、友人と一緒に古きよき映画を観に行くべきだ」と、年甲斐もなく若い女性に苛立ったようなコメントを述べた。

 彼女は一昨年9月国連の気候サミットに出席するため、大量の二酸化炭素ガスを排出する航空機ではなく、2週間かけて全長18mのボートで大西洋を渡り大きな話題を呼んだ。国連では、地球が大量絶滅の時代に直面する今、大人たちが積極的な対策を取らずに失敗すれば、自分たちの世代は絶対に許さない、と激しい口調で各国代表に訴えた。その後チリで開催される国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)に出席するため、同国へ渡ったが、リマ市内で暴動が発生して予定されたCOP25の会場が急遽マドリードに変更され、再び14mのヨットをチャーターして大西洋を横断しリスボン経由でスペイン入りした。画像ではその辺りの場面が撮影され、荒れる洋上で船酔いした彼女を映し出していた。

 現実にアメリカ・カリフォルニア州や、オーストラリアの山火事の現場で近隣の人たちにインタビューしている前向きな姿勢には感動した。世界中どこへでも出かけていき、あまり気負うことがない。僅か16歳の高校生がこれだけはっきり自ら信じた環境破壊への反対意見を堂々述べるのには感心した。自分自身振り返って、ラグビーに夢中だった高校生時代には、彼女のような高邁な考えも行動力もなかったし、世界へ訴えるような行動なんてとても出来なかった。今や彼女のネームバリューは世界的になったが、今後怪しげな組織に利用されないことを願っている。

 折も折この数日ドイツ西部からベルギー、オランダ方面に至る広い地域で河川が氾濫し、洪水が市街地へ流れ込み多くの家屋を水没させ、ドイツ国内だけで157名の死者が確認されている。この現実にかねてより地球温暖化現象を危惧していたドイツのメルケル首相は、現場を視察し気候変動に断固として取り組む必要があると呼びかけた。グレタさんが恐れていた地球温暖化がもたらす災害が、現実にヨーロッパのさほど大きくない川で発生したのである。

2021年7月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com