昨日大きなニュースが2つあった。
そのひとつは、ストックホルムで開かれた日朝交渉で日本人拉致被害者を再調査することで北朝鮮と合意したと安倍首相が記者会見で発表したことである。拉致被害者と併せて拉致された疑いのある特定失踪者の調査も開始するという。過去4回に亘って約束を反故にした北朝鮮の戦術転換には、北の苦しい事情が隠されているのだと思う。唯一通じ合っていた中国とは、親中派の金正恩第一書記の叔父・張成沢氏を処刑したことによって、蜜月関係ではなくなった。今や四面楚歌の北が、日本にその交流の機会を広げることを狙い、拉致をテーマに歩み寄って来たものと思う。
両国の交渉の前途には問題が山積している。拉致被害者の調査と言いながら、北は真剣に取り組んでくれるだろうか。ジェスチャーだけで実質的な結果を示さず、結果的に制裁措置の一部解除だけを主張することになるのではないだろうか。
他にも日本の北制裁解除について日米韓が北の弾道ミサイル発射や核開発などに対して、警戒、制裁を決めていることから米韓両国は日本の対応を憂慮している。
もうひとつは、日本維新の会が共同代表の石原慎太郎氏と橋下徹氏が袂を分かつことになったことである。もともと相手を慮る人柄ではない両人が、同じ目的地に向かうとは言いながらルートが異なる船に揃って乗ること自体に無理があったと思う。石原氏は自主憲法の制定を目指すうえで、橋下氏が考えている「結いの党」との合流は意味がないと考えたが、橋下氏との意見調整はつかず僅か1年半で分党することになった。石原氏はシンパを率いてわが道を往く。一方、橋下氏は同志とともに野党再編を目指し、大阪市長兼任のまま、また新たな戦いを挑むことになった。
政治的影響力のあるふたりが、政界で力を削ぐような形で矮小化していくことが残念である。
今日の駒澤大の講座でも2人の講師が、ともにこの2つの問題に触れられた。当分の間昨日明らかになった2つのトピックスが、大きな話題になることだろう。