2574.2014年5月31日(土) 極東で四面楚歌に追い込まれる中国

 安倍首相が昨日シンガポールで開催されているアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で基調講演を行い、南シナ海で実効支配を強める中国が既成事実を積み重ね、現状の変化を固定化しようとする動きを非難し、中国の海洋進出を牽制した。同時に、尖閣諸島について領土問題は存在しないと言明し、東シナ海、南シナ海で国際法が順守されるよう述べ、一方で中国と領有権問題を抱えるフィリピンとベトナムの立場を支持した。

 ところが、講演後の質疑で中国軍人が、「先の戦争では何百万人もの中国、韓国、アジアの人々が日本軍に殺された。その魂にどんな姿勢を示すのか」と質問した。安倍首相が日本は対戦への痛切な反省のうえに立って平和をつくってきたと応えたが、中国政府関係者は怒りをあらわにしていたという。この会議で中国も批判されることはある程度予想していたらしく、安倍首相に反論できる弁が立つ閣僚級を送り込んできた。

 中国も殊のほか、アジア諸国からの批判が強いことを認識したのか、多少はひるんだ様子を見せたが、強気な主張は最後まで引っ込める気はなく、「海洋権益を守る決意と意思は固くこの問題で駆け引きする余地は全くない」と性懲りもなく強気一辺倒である。

 これまで公的に中国を批判しなかったアメリカがここへ来て中国を批判し始めた。

 今日開かれたアジア安全保障会議でアメリカのヘーゲル国防長官が講演で、挑発を続け主権拡大の姿勢を強める中国を名指しして強制や威嚇は断固許さないと強く批判した。国防長官がこれだけ強い調子で中国を非難したのは久しぶりである。これもアジアに対するアメリカの関与に対する疑念が関係国の間で広がっていることが背景にあると見られている。

 これで中国の出方にはかなりブレーキがかかるかも知れないが、いずれにしても極東で中国を頼っている国は、カンボジア、ラオス、ビルマぐらいしかなくなっている。そこへ日米両国がはっきり中国の海洋進出を批判したことにより、中国が強気の外交及び防衛力を少しでも手控えるようになるだろうか。

2014年5月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com