5151.2021年6月19日(土) イラン大統領に保守強硬派のライシ師

 昨日イランの大統領選が行われた。今回はかつてないほど保守強硬派が絶対有利と言われていたが、予想通り強硬派のライシ師が圧勝することがほぼ確定した。第1段階で候補者が保守強硬派の「護憲評議会」によって事前審査され、保守穏健派や改革派の有力者が失格し、革命体制派の候補者が当選するだろうと言われていた。このため国民の関心は薄く、投票率も国民にとって政治への無関心を呼び、1979年イスラム体制樹立以降最低となったようだ。

 イランは核保有国となり、国際的にも発言力は大きくなっている。8年間その職にあった穏健派ロウハニ現大統領がアメリカとも核合意を結び、対アメリカではトランプ大統領就任前まで関係が安定したため、比較的国際社会と協調し大きな核問題は俎上に上らなかった。ロウハニ大統領が8月に期限が切れ辞任すれば、イラン政界はほとんど保守強硬派ばかりとなる。今後アメリカとの対立が激化し、周辺国との間でも諍いを起こすのではないかと懸念されている。

 現在イランでは最高権力者のハメネイ師が、絶対的権力を掌握しているが、今後イランとの外交は西側諸国にとって頭痛の種となるだろう。

 ところで、今月6日に行われたペルー大統領選はイランとはまったく異なり、2人の候補者の熾烈な戦いとなった。お互いの得票が競い合い、不正を唱える声もあって今以て当選者が決まらない状態である。15日時点で急進左派政党候補のペドロ・カスティジョ氏が投票数の50.125%獲得に対して、対立候補者のフジモリ元大統領の長女ケイコ・フジモリ氏の得票率は49.875%である。その差0.25%の僅差である。双方から不正があったとの訴えがあり、最終的に次期大統領が決定するのはまだ時間がかかりそうである。日本や欧米のように選挙結果が直ちに正しく判明するということは今日のベルーではとても考えられないようだ。しかし、これでは政治に空白が出来て長い間機能しないということになる。幸い軍部が入り込むという恐れは今の時点ではあまり考えられない。だが、政治が機能しないとなると、何らかの理由をつけて軍が黙ってはいないのではないか。2月にもミヤンマーで軍事クーデターが起きたばかりである。選挙結果が決まらず、政治家が政治ごっこをやっている隙に軍事クーデターで軍が実権を掌握する心配がある。もう少し風通しの良い真っ当な選挙が出来ないものだろうか。

2021年6月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com