5147.2021年6月15日(火) 中国、ハンガリーに学問の「一帯一路」

 先日ハンガリーの首都ブダペスト市内に中国の「復旦ハンガリー大学」キャンパスを建設する計画に対し、市民が反対のデモを行っているのをテレビで観て、中国流「一帯一路」がここまで進出してきたのかと驚いたところだった。中国政府の「思想輸出」と呼ばれている。中国政府は、教育の世界進出を目指していて国内の北京大学、清華大学、復旦大学など42名門大学の世界進出を計画している。習近平・国家主席の「思想」の普及を目論んでいるようだが、アメリカ政府は高等教育機関を通じて、知的自由を圧迫し、自国の影響力を強めようとしていると警戒している。実際中国の大学には、嫌いな科目だから、或いは自分の思想信条に反するから受講しないといった選択の自由はない。

 すでにセルビアには上海交通大学が進出していて、ベオグラード、ノビサド、ニシュの3大学では、セルビアの大学生が中国の世界観を学び、それなりの学習効果が表れているという。ひとつの問題として、中国の大学進出には、カリキュラム上「軍民融合」の旗印の下に教育研究機関と人民解放軍の協力が進められる懸念があることである。更に復旦ハンガリー大学建設総事業費18億㌦(約2千億円)の内、政府負担は2割で残りはすべて中国政府の融資である。工事も入札制を採用するが、中国側業者が請け負うことはほぼ確実と見られている。アジア各国でこれまで行ってきた「一帯一路」とまったく同じ手法である。

 ハンガリー国内には、2024年までにハンガリー復旦大学を開設するとの戦略協定を中国政府と結んだオルバン首相に対する強い疑念と不満がある。ブダペストのカラチョニー市長は市民投票にかけて計画撤回を求めていくという。日本の大学にも食指を伸ばしている中国が狙う日本への大学進出は、日本にとっても他人事ではないと言える。と同時にこのように最高学府が世界へ進出する時代になったということでもある。

 さて、G7における菅首相の自信たっぷりの発言からすると、東京オリンピックの中止はなく、開催は間違いないようだ。残る問題は最大入場観客数をどの程度に制限するかということになるようだ。来月にならないとその結論が出ないようだが、テレビ放映権を有しているNBCユニバーサルのオーナーが、東京オリンピックは最も収益が得られると語った。テレビ放映されれば、メディアにとっては視聴率が上がりスポンサーも喜ぶだろう。NBCはリオ大会で過去最高の約275億円の利益を上げたが、東京大会では過去最大の7千時間の放映を行うことによってそれを上回る期待が持てるという。視聴者にとっては、臨場感度が落ちるだろうが、観客がいようといまいとテレビは見放せない。これならスポンサーも増える。観客なしでも良いのではないか。偶々来月4日に東京都議会議員選挙が行われ、小池都知事が顧問を務める「都民ファーストの会」が、選挙公約を発表し、皮肉にもどちらとも言わない小池知事を蔑ろにするかのように無観客での開催を訴えた。

2021年6月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com