5148.2021年6月16日(水) 名画「市民ケーン」は期待外れだった。

 昔の映画「市民ケーン」をビデオで観た。高校時代から長い間観たいと思っていた映画だったが、昨日NHK放映で録画したので、やっと観ることが出来た。1941年に製作公開されたというから第2次大戦中のことである。映画史上でも傑作とされてからすでに80年が経った。しかし、ひとつのイメージを描いて楽しみにしていた映画のストーリーは、イメージとはまるで違っていた。新聞社を32社、通信社を2社も手中に収めた稀代の新聞王ハーストをモデルにしていたということから、ジャーナリストらしい正義感で社会の悪と戦う新聞記者魂に溢れた新聞社経営者を予想したり、ジャーナリズムの世界で、自由と民主主義を勝ち取るための戦いと勝手に想像していたが、新聞社を手に入れた経緯は描かれず、遊び人の生活を描いた通俗的なドラマだった。残念ながら期待に反したものだった。

 主人公のチャールズ・ケーンは、一代で新聞王となったが、その日常生活はハチャメチャで懐具合に任せてやりたい放題だった。はっきり言って大金を手にしたから生きていけた。ヨーロッパで彫刻品を買い漁り、私生活も普通ではなかった。城と名付けられた豪華な住居は、まるでディズニーランドのようだった。こんな人物を描いた映画がどうして持て囃されたのか理解に苦しむほどである。スクリーンでは新聞王としての活躍ぶりもほとんど紹介されず、高校時代から観たいと思っていたが、単に映画評論や宣伝広告に惑わされていただけだったのである。それにしても現代人の視点から見ても大した映画とは思えない。シネマのレジェンドであるオーソン・ウェルズが監督を務めたにしては、面白くもない。大分期待外れだった。

 さて、先月イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム原理主義組織ハマスに対して空爆を行い、11日後に何とか停戦となり世界がホッとしたところだった。それが舌の先も乾かぬ間に、再びイスラエル空軍がハマスの施設を砲撃した。イスラエル南部でパレスチナ武装勢力が可燃物を取り付けた「風船爆弾」を飛ばしたことに対して、ガザ地区への空爆を開始した。一昨日イスラエルではネタニヤフ前首相が退陣したばかりであるが、後継者ベネット首相が前首相より以上に極右派であり、一旦事あらば再びこのような事態が起こるのは容易に予想されていた。

 実は、昨15日は、1967年第3次中東戦争でイスラエルが、ヨルダン領だった東エルサレムを占領して、エルサレムが「再統一」された日として熱血的なイスラエル国民が行進を行っていた。9年前に訪れた「嘆きの壁」内で気勢を上げている彼らの姿が「YouTube」で妙に目に付いた。デモの始まる前に国連とアメリカは自制を呼びかけていたが、右翼のベネット首相率いるイスラエル新政権はこれを承認した。この様子だと、これからも対立するイスラエルとパレスチナ自治区の間では、衝突が避けられそうもない。

2021年6月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com