5143.2021年6月11日(金) 京都市財政が10年以内に破綻?

 5日付毎日新聞に、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長をモチーフにした風刺画「はらぺこIOC」が掲載され、ちょっとした物議を醸している。題材は先月他界したエリック・カール氏の絵本「はらぺこあおむし」で、あおむしとなったバッハ会長らが「放映権」と書かれた「ゴリン(五輪)の実」を食べている様子を描いたものである。これに対して絵本発行元の偕成社社長が「表現の自由や風刺の重要性は理解しているが、多くの子どもたちから愛されている絵本出版元として強い違和感を覚えた」とサイトに掲載した。我が家でもこの絵本は小学生の孫のために手元に1冊置いてあるが、話もシンプルながら絵の構成も中々工夫が凝らされている。食べ物を食する度に頁をめくった翌日には食べた量が増えた様子が示され、最後にはサナギになり蝶々になって飛んでいく絵がユニークだ。その繊細な構成は、日本の出版社だから出来たと言われた。幼い子どもたちが興味を持ち、楽しめる絵本だろう。

 偕成社は、「風刺を引用する作品全体の意味を理解したうえでこそ力を持つ」「不勉強、センスの無さを露呈した」などとして、作者と編集者を批判し、毎日新聞に猛省を求めた。これに対して、毎日は一昨日「掲載した風刺漫画は肥大化するIOCに対する皮肉を表現した。指摘を真摯に受け止めたい」と応えた。

 それにしても昨今の何ものをも畏れぬIOCのやや傲慢ぶりには、こんな風刺画が出て来るのも宜なるかなと思わせられる。昨日のIOCリモート理事会では、バッハ会長が、東京大会は(開催国の準備に関係なく?)このまま開催する意向であることを強く主張していた。もうひとつ政府が頭を悩ませているのは、オリンピック憲章で開会式の開会宣言は開催国の国家元首が読み上げると規定されていることである。1964年東京大会、72年冬季札幌大会では昭和天皇、98年冬季長野大会では平成天皇が開会を宣言している。今度の大会で新型コロナウィルスの影響下で国論を二分した状態のオリンピック開催を天皇が支持しているとの印象を与えかねないのではないかと懸念し、どう対応すべきか検討することにしている。

 さて、衝撃的なニュースを知った。世界遺産都市である国際観光都市・京都市の財政状態が厳しく、7日門川大作市長が語ったところに依れば、このままの状態で推移するなら10年以内に市財政が破綻しかねないというものである。将来の借金返済のために積み立てている基金を取り崩す「禁じ手」を長年に亘って続けていて、このままでは数年後に底をつき、財政破綻する恐れがあるという。

 それにしても京都ほどの雅な都市が破滅に陥るというのは、想定外のことであり多くの日本人が失望するだろう。最大の理由は、京都には学生と神社仏閣が多く税収が少なく、固定資産税が少ないにも拘わらず、市民に対して手厚い行政サービスを提供していることだという。もうひとつは、地下鉄建設に巨額を投資したが、利用客が伸びず経営維持のために一般会計から補填していることのようだ。外からは分からず、苦しい懐事情を抱えていたのには驚いたが、その前にどうして今まで天下の京都市は、財政再建策、或いは軌道修正策を講じなかったのだろうか。現在4期目の門川市長もいろいろ文化的なプロジェクトには、和服を召されて積極的に参画しているので目立ちがちだが、もう少し堅実に足元を見据えることが大事だと知るべきである。案の定お節介な松井一郎・大阪市長から身を切る改革が必要だとの苦言を呈されている。市長は市長なりに4月から給与を3割カットしているようだ。

 中学生時代を京都市内で過ごして友人もいるので、他の観光都市とは比べられないくらい京都市のこれからの行方が気にかかる。

2021年6月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com