2586.2014年6月12日(木) 懐かしの南アルプスがエコパークに登録

 地味なニュースであるが、今日「南アルプス」と福島県「只見」について国連ユネスコが「エコパーク」への登録を決めた。世界自然遺産が手つかずのまま自然を守るのに対して、「エコパーク」は生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目指す。地域の自然と文化を守りながら地域社会の発展を目指して、生物多様性の保全機能、学術的研究支援、経済と社会の発展の3つの機能が求められる。登録には①自然環境を守らなければならない「核心地域」、②環境教育や観光・レジャーに利用できる「緩衝地域」、③社会と経済の発展が図られる「移行地域」、の3つの地域を設定することになっている。

 厳しい条件もあり、喜んでばかりはいられないようだが、それでも真夜中に登録承認を知らされた南アルプス市長や只見町長は大喜びである。確かに地域の活性化には繋がると思うが、考え方によっては世界自然遺産以上にその管理保全に真剣に取り組まないと後になって泣きをみることになる。

 私自身南アルプスについては、学生時代から何度も登山しているが、中でも1960年安保条約が改定され、我々安保改定に反対派の学生たちが意気消沈していた同年7月大学アルペンクラブのリーダー・原田先輩と同級生長友くんの3人で全山縦走にトライしたことがとてつもなく懐かしい。テントを背負って東海道線金谷駅から大井川鉄道に乗って千頭駅で降り、後はひたすら北上し南アルプス全山を越えて中央線韮崎駅へ出る約

 3週間の縦走だった。北アルプスと異なり、一つ一つの山を麓から頂上をアタックしては下る登山の繰り返しだった。丁度台風直後ということもあり、南アルプスの南部では風倒木に悩まされた。ラジオでその頃世間の話題をさらった誘拐事件・吉展ちゃん事件の犯人が捕まったことを聴いた。

 7月16日にスタートして寸又峡から光岳、聖岳、大沢岳、赤石岳、悪沢岳、赤石岳、荒川岳などを経由して26日登山道で不覚にも足を踏み外して谷へ転落して腹部を強打し、リーダーから登山続行は困難と判断され三伏峠で合流したアルペンクラブの他のグループとともに下山することになり、数日後飯田線伊那大島駅へ出て辰野駅経由で新宿へ着いて藤沢へ帰って来た。当初の目標通り全山縦走ができなかったことが後々まで悔やまれてならなかった。

 その後リーダーと長友くんは予定通り韮崎へ出ることができた。今思い出しても途中で挫折したこともあり残念な思いがある。他の2人にとってもよほど印象的な登山だったとの思いがあったようで、その様子を記したリーダーの登山日記を先般送ってもらった。

 その後も会社の山岳部仲間と度々南アルプスへ出かけ60年に挫折した北岳、間の岳、農鳥岳、鳳凰三山などはその後踏破したが、南アルプスには北アルプスのような派手さはないが、あまり他の山にはない奥深い魅力があるのが南アルプスの山々だ。

 今年から8月11日を「山の日」として祭日にするという。最近山の遭難者、特に高齢者の遭難事故が目立っている。エコパーク登録を機会に「山」ということについてじっくり考えてみる必要があるのではないかと思う。

2014年6月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com