5141.2021年6月9日(水) いつまでに決断するのか東京五輪開催

 東京オリンピック開催まであと44日まで迫ってきた。主催者側は開催の線を曲げないが、外からは中止の声が日に日に高まり、今も開催か、中止かの最終結論は出ていない。そんな時に大会関係者の間では「有観客開催」の主張が勢いを増しているという。医療関係者が開催に消極的な声を上げると、「安全安心な大会を開く」という抽象的な言い方で、ひたすら開催へ向けて突き進む。医療専門家と政府関係者との間で噛み合わない言葉のやり取りがある。政府が開催に固執するのは、在任中めぼしい実績が期待出来ない菅内閣としては、新型コロナ・ウイルス感染拡大の中で成功裏に開催して、コロナを乗り切ったということを訴えたいのだ。

 最終的にどこが開催か、中止かの決断を下すのかどうもはっきりしない。主催者国際オリンピック委員会(IOC)としては、開催によりテレビなどの放映権料などで多額な収入が得られる。アメリカのABCは、東京まで過去4回のオリンピックの放映権料として43億8千万㌦(約4千5百億円)を支払う契約を結んでいるという。実際に、どのくらいの放映時間を提供するのかと思ったら、開会式に放映を始めて約7千時間と感覚的には分かり難い。どうもピンとは来ないが、17日間に亘ってゴールデンタイムを含めて放送しっぱなしにする。この放映権料がなくなったらIOCとしても財政的に苦しくなるだろうし、テレビ番組にも大きな穴が空くだろう。現在ワクチン接種が進んでいる状態をも考えると、中止はほとんど考えられない。今は観客をある程度認めたうえで開催すると言う方に気持ちが傾いているようだ。

 橋本聖子大会組織委員会会長は、海外メディアに対しても注文を付けた。入国後2週間は事前に登録されたところ以外に外出することがないようスマホのGPS機能で行動管理を厳格に行い、宿泊先も組織委員会が監督出来る施設に限定するという。果たして自由な行動に走りがちの外国メディアが、素直に従うだろうか。

 折しも明後日からイギリスのコーンウォールで開催される先進国7カ国首脳会議(G7)で、東京オリンピック・パラリンピック開催への支持を表明する方向で調整しているようだ。開催への強い後押しとなるだろうか。

 さて、コロナの影響は経済界に大きな影響を与えているが、とりわけ交通、観光、飲食業界にとって打撃は厳しい。ローカル鉄道においてあまり気にされていなかった輸送密度の減少率が高まったとして、JR在来線では旅客の減少が経営面で打撃を与えている。これまでローカル線では廃止は一部に留まっていた。それは、大都市圏や新幹線の運賃収入をローカル線の赤字を穴埋めしていたからである。しかし、国内の総人口の減少や、コロナ禍のテレワーク定着などで乗客が元に戻らなくなったこともあり、鉄道事業が苦しくなりローカル線を維持出来るボーダーラインが上ったことがある。実際大糸線では輸送密度がほぼ90%も低下した。岩手県山田線、陸羽西線、津軽線、花輪線などでも80%前後下がった。今後は、自治体などが、設備や土地を保有し、鉄道会社が列車と運行する「上下分離方式」が検討されるべきではないかとの提言がなされている。

2021年6月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com