5140.2021年6月8日(火) ミヤンマー制裁決議とA級戦犯遺灰散布

 昨日に続き、今日も暑い。東京では最高気温が31.4℃で今年初めて真夏日となった。

 クーデター発生以来4か月余が経過したが、未だに国際社会はミヤンマーに対する具体的な制裁措置を課すことが出来ないままである。そんな中を本日衆議院本会議で自民党や立憲民主党など超党派の議員がミヤンマーでのクーデターを非難する決議案を提出し、賛成多数で可決した。ミヤンマー国軍に対して民主的な政治体制の早期回復を求める内容で、民間人への残虐行為の停止や、アウンサンスーチー氏らの即時解放を要求している。

 国連安保理が、ミヤンマー国軍に対して非難声明を出すことに対して5大常任理事国のうち中国とロシアが反対を唱えて実施出来ない。東南アジア諸国連合(ASEAN)は特使を派遣して国軍を説得しているが、成果は表れていない。その中で、とかく国軍関係企業とずぶずぶの関係にあった日本だったが、この決議案で思い切って日本の立場と言い分を示せたと思う。国際社会はこの決議案に対して前向きなニュアンスで受け止めるであろうし、日本としては滅多にあり得ない決断でもありこれを評価したいと思う。

 さて、今日の朝日、NHK、及びTBSの報道で知ったことだが、東条英樹元首相、広田弘毅元首相ら太平洋戦争A級戦犯7人の遺骨が処刑後すぐに空から太平洋上に撒かれていたことが、1949年1月4日付のアメリカの公文書に記されていることが分った。遺族によると広田家のお墓には遺髪を収めているという。記録が廃棄されないで保管されていたことは良かったと広田の孫は話している。広田は戦時中藤沢市鵠沼の私の実家近くに住んでおられ、今でも江ノ電・鵠沼駅から鵠沼海岸へ向かう道路は「広田通り」と呼ばれている。

 ところで、こうなると靖国神社には、遺骨も遺髪も収めてないということになる。保守政治家や右翼らが終戦記念日や、天皇誕生日、春秋例大祭などの折に靖国神社で戦争により散華された戦没者に対して尊崇の念を捧げると異口同音に述べたり、参拝して物議を醸すことが多いが、その尊崇の念を捧げるべき7人はそこにはいないということになる。これでは彼らは上げた拳をどこへ下して良いのやら分からなくなってしまうのではないだろうか。

 GHQとしては、それなりの算段があったようだ。ウィリアム・シーボルトGHQ外交局長は、「死刑になった指導者たちの墓が将来、神聖視されることのないように遺灰はまき散らすことになっていた」と語っていたらしいが、靖国神社にとっては想定もしていなかっただろう。これで今後A級戦犯の霊に詣でる理由がなくなってしまったのではないだろうか。逆にA級戦犯の遺灰がないだけに、他の戦犯に対するお参りを堂々とすることが出来るという理屈も成り立つ。

 公表された公文書には、A級戦犯の遺骨の扱いが詳しく書かれ貴重な資料となっているそうだ。A級戦犯が処刑されたのは、48年12月23日で処刑された遺体は火葬場に運ばれ、火葬に付された遺骨は骨壺に入れられ、アメリカ第8軍の連絡機で横浜の東30㍄の洋上から撒かれたと記録されている。すべて書簡に基づいて行われた。その詳しい経緯については、一切日本側には知らされなかった。日本の報道陣、カメラマンに気づかれないよう巣鴨拘置所からの移動には注意を払った。

 それにしても戦後76年にして、今以て秘密裏に処理されていた事象が、新たに公開される。彼我の立場を考えれば止むを得ないが、当時の日本はGHQにはまったく文句を付けられなかったことがよく分かる。

2021年6月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com