2597.2014年6月23日(月) ニカラグアの運河建設計画

 いま国際的な大プロジェクトが世界中から注目を集めている。中米ニカラグアの巨大運河建設プロジェクトである。

 第1次世界大戦が始まった100年前にパナマ運河が完成し、船舶による太平洋と大西洋・カリブ海の往来が可能になった。スエズ運河を完成させたフランス人レセップスも中途でさじを投げ、アメリカが引きついたほどの難工事の末に漸く両大洋はひとつに繋がった。

 そのパナマ運河の規模を大きく上回る新しい運河がニカラグアに建設されようとしている。総延長がパナマ運河の80㎞に対して、ニカラグアのそれは3倍余の280㎞だというから途方もない。これもパナマ運河同様に難工事が予想されるが、これを41歳の中国人IT企業経営者がこのプロジェクトのために造った民間企業が請け負うことになった。総工事費が約5兆円と言われ、それだけでニカラグアの国内総生産の5年分に当たる。

 いま一方のパナマ運河では拡張工事が進められ、工事完成後はネックのひとつだった大型船舶の通航も可能になる。それを考えるとこのような狭い地峡に巨大運河が2つも必要だろうか、疑問でもある。

 ニカラグア政府は、経済成長、雇用創出、格差縮小のためと言っているが、その一方で失うものも多い。大がかりな自然破壊と環境汚染である。中でも水質汚染により地元民の飲料水が汚染されることである。また、農民の多い地域で果たして彼らの雇用の増加につながるのか。そこへアフリカ諸国の経済支援工事と同じように中国人労働者の流入と雇用により現地人労働者が雇用されなかった例もあり、ニカラグア人が必ずしも雇用されず労働最前線ではむしろ中国人労働者が雇用されるという計算違いが生じるのではないかと不安視されている。大体請負業者決定にも国際的入札をせず、件の中国企業に指名入札したことなど不明瞭な点が多い。他国のことではあるが、いずれ問題が浮上するのではないかと少々気になる。

 さて、旧日本軍の組織的な戦いが終わって69年が経ち、今日糸満市の平和記念公園で沖縄全戦没者追悼式が行われ、安倍首相、岸田外相、小野寺防衛相、ケネディ米駐日大使らが出席された。安倍首相は「米軍基地が集中する沖縄の負担軽減に向け、全力を尽くす。沖縄の発展こそが日本の未来を創る。私が先頭に立って沖縄の振興を進めていく」と語っていたが、最近の集団的自衛権や集団安全保障、辺野古への基地移設計画などに関する言動から考えて、首相が心底からそう思っているようにはとても思えない。口先ではうまく言っているつもりでも、沖縄戦の犠牲者や遺族にとっては首相の言葉は歯が浮いたように感じたのではないだろうか。

2014年6月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com