5081.2021年4月10日(土) 中国6年内に台湾侵攻?

 いま日本ではあまり真剣に受け止められていないが、安全保障問題で最もリスクの高いのが、隣国の台湾である。このところ中国による台湾への軍事力介入がしきりに取り沙汰されている。これまで中国は世界に向かって台湾は中国と一体で1つの中国であるとアナウンスするだけで、台湾に特別に干渉することはなかった。だが、次第に昨今の中国の帝国主義的な動きを見て、中国に対する警戒心と不信感が高まり、新疆ウィグル自治区やチベットの人権抑圧や、香港の非民主的な人権及び言論の弾圧などから一気に対中非難が高まってきた。その間に米中対立が深まり、台湾では反中国の蔡英文が総統に就いた時から、アメリカと台湾が接近して、アメリカが台湾に武器類の販売、供与を行うに従い、中国政府は台湾への監視と警戒を一層強めるようになった。

 これまで大きな問題がなかった中台関係が急激に険悪化しつつなるにつれ、中国による台湾への干渉、介入が懸念されるようになった。中国の習近平・国家主席が台湾を軍事的に統一するとの考えに傾いて来たとの観測があるようだ。仮に中国が台湾を制圧すれば、アメリカの東アジアにおける威信と影響力は大きく揺らぐ。だが、同地域にはアメリカとともに軍事協定や、対中競争に加われるような堅固な同盟国は見当たらない。そこで期待されるのは同盟国日本である。今日ではアジア地域における大きなアメリカの軍事基地は、日本と韓国ぐらいである。台湾が戦争の舞台となれば、地勢的にも沖縄にアメリカ軍基地を抱える日本が同盟国として頼られ、アメリカから協力を要請されるのは火を見るより明らかである。

 こんな時に、次のインド太平洋軍司令官と目されているジョン・アキリーノ太平洋艦隊司令官が、中国による台湾侵攻が最重要問題と述べたことから、先月末産経新聞に「中国の台湾侵攻迫る」と報じられた。台湾の軍事戦力は、中国に比べれば、押し並べて10分の1以下である。そこで頼りになるのは沖縄にアメリカ軍基地を持つ日本の協力を得ることである。日本が憲法で戦争を禁じられ、非核3原則を堅持していることはアメリカだって百も承知であるが、背に腹は変えられない。最近日本の安全保障に精通したジェフリー・ホーナン・ランド研究所研究員が、アジアの状況を考えると日本は法律上の制約、防衛費上限を見直すことが必要と身勝手な発言をしている。

 中国が6年以内に台湾に上陸するとの観測がアメリカ軍部内で持ち上がっている。来る16日に菅首相が訪米してバイデン大統領と最初の首脳会談を行う予定であるが、アメリカ・ペースにはまらず、日本の立場、軍事協力関係をきちんと説明して、絶対に戦争へ加担するようなことがあってはならない。

 今朝の朝日新聞にタイミングよくアメリカ政府国防総省と国務省の高官が、核兵器予算の削減を示唆したと紹介された。核抑止力の維持に努める考えも強調したというから、トランプ時代の猪突猛進ぶりからバイデン政権になって多少自制力は強まってきたように思う。

 とにかく核開発競争が激化して、一旦事が起きたら世界は終わりだいうことをよく考えてもらいたいものである。

 今夕のTBSテレビ「池上彰のニュース!!」で、あの池上さんもこのテーマを深く突っ込んで取り上げていた。何事も起きなければ好いが・・・。中国の考え次第だろう。

2021年4月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com